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前号(6月29日号)と2週にわたり、注目の変化球の使い手たちに、その投げ方を誌上公開してもらったが、前半戦は変化球にまつわるさまざまなニュースがあった。NPBはもちろん、その他のカテゴリーにも目を向けて、トピックスを振り返る

藤浪が金子チェンジアップ?


本誌対談企画で変化球談義に花を咲かせる藤浪と金子



 きっかけは週刊ベースボールだった? 昨年の日米野球開催期間中に、阪神藤浪晋太郎オリックス金子千尋による対談が実現(2014年12月8日号)。この対談中に、藤浪が金子に伝家の宝刀・チェンジアップの伝授をおねだり。

 元々、2種類のチェンジアップを試行錯誤していた藤浪だが、金子からフォーシームチェンジアップの握り、投げ方、制球の仕方を教わると、「追い込んでから打ち取れる、ストライクゾーンでの勝負球が欲しいと思っていました」とさっそく今季から“金子式”をメーンとした。

 これにはフォームのタテ振りへの修正が深く関わっており、高い位置から投げ下ろす金子式が、フォーム修正後の藤浪にピタリ。最速158キロの直球を軸とする剛腕に、恐ろしい武器が加わった。

あのカーブが復活


鹿児島実高時代の代名詞だったカーブを復活させた



 鹿児島実高時代に決め球としていたタテに大きく割れるカーブを、巨人杉内俊哉が復活させた。“松坂世代”が躍動した1998年夏の甲子園でも、1回戦の八戸工大一高戦で、このボールを駆使してノーヒットノーラン。

 プロ入り後は肩を故障し、負担を軽減するフォームに改良したことから、「当時の曲がりをしなくなった」ために、“タテ”を封印。別変化のカーブを限定的に使用する程度にとどめていた。その間、プロ入り後に覚えた大小2種のスライダー、チェンジアップが代名詞となり、3度の最多奪三振に導いたが、3歳を迎えるシーズンにさらなる進化を決断した。

「緩急もつけたいですし、空振りを取れる球にしたい」。現在は多投をせず、要所でアクセントにする程度だが、手応えを得ている。

ナックルボーラー現る


ナックルを磨き上げプロ8年目の背水の陣に挑む植松



 可能性は見せた。6月4日、阪神戦(甲子園)にドラフト制度以降、3番目に遅い8年目での一軍初登板を果たした植松優友は、珍しいナックルの使い手。

 7年間一軍登板がなく、背水の覚悟で臨んだ今季、「高校時代に遊びで投げていた」というナックルを新球に加えた。この日の試合でも約10球を投じ、2回にゴメスを三振、6回にはマートンを左飛に。6回4安打1失点に、捕手の吉田も「ナックルは使えると思います」。

 しかし、11日の中日戦(QVCマリン)では2回を6失点KOで二軍降格。精度を高め、再昇格を誓っている。

スライダーに笑い…


 6月20日にナショナルズ・パークでのパイレーツ戦で、シャーザー(ナショナルズ)が、ノーヒットノーランを達成。許した走者は死球による1人のみの準完全試合だった。

 シャーザーは160キロ直球に加え、スライダーが武器。MLB全監督を対象にしたアンケートでも、14年度スライダー部門で、ダルビッシュ有(レンジャーズ)に次ぐ2位の評価を受けている。

 この試合でも効果的に配していたが、9回二死からの死球は、追い込んでからのスライダーが曲がり切らず。「あと1つだったのに」と悔やんだ。

スライダーも!?


 先の大学選手権で流通経大を準優勝に導いた生田目翼は、155キロの力強い直球でスカウトを虜にし、「公務員志望(練習嫌いのため)」発言で話題をさらった。

 が、準決勝で対戦した神奈川大の選手たちに言わせると、「見たことのないスライダー」がもっとすごい。この試合、生田目は最速151キロ直球に、打者の手元に来て「急激に沈む」軌道のスライダーで2安打完封勝ちを収めている。

 決勝でこそ早大に6失点KOされたが、まだ3年生。進路も再考する予定で、1年後にはこのボールを武器にドラフトの目玉になっているかも。
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