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特集・今年生まれた10の記録 その真相に迫る!
まだまだいるぞ!2015年“隠れ”タイトルホルダー

 

日本ハム大谷翔平が“投手三冠”を達成するなど、多くの選手がタイトルを獲得した。その一方で、正式に表彰タイトルに認定されていない各部門でも好成績を残した選手は多数いる。そこで、ここでは2015年の“隠れ”タイトルホルダーを紹介。今季、リーグナンバー1の成績を残した選手は、まだまだいるぞ!

打撃部門・安打量産の川端がここでも2冠に!


21度の猛打賞を記録したセの首位打者・川端。マルチ安打数でもトップに立った



 セ・リーグの首位打者と最多安打の2冠に輝いたヤクルト川端慎吾が、隠れ″タイトルでも内野安打数と猛打賞回数の2冠を獲得。マルチ安打(2安打以上)も60試合でリーグトップを記録するなど、まさに“安打量産”の1年となった。

 そんな川端の数字を超えているのが、パ・リーグの同部門だ。27度の猛打賞を記録したのは、シーズン最多安打数を216に更新した西武秋山翔吾。内野安打数35をマークしたのは盗塁王に輝いた日本ハム・中島卓也。やはり、タイトルホルダーが、“隠れ”でもトップに立っている。

 一方で無冠に終わった選手の名も。今季、打率.269と不本意なシーズンに終わった巨人坂本勇人が、二塁打数でトップに。犠飛数でも1位となり、好機では打点を確実に挙げ、最低限の仕事はこなしたことを証明している。勝負強さを見せたのは、こちらも無冠のDeNA梶谷隆幸だ。打率.275ながら、得点圏では.352を記録。来季は梶谷の前に、いかに走者を置くかがポイントになるだろう。

 唯一、2年連続で“隠れタイトル”を獲得したのが、西武・中村剛也だ。本塁打率.071は、14打数に1アーチの計算になる。昨年の.089からダウンも、これだけの本塁打率を誇れば、相手投手も勝負を慎重にならざるを得ない。そんな状況下で、来季も本塁打を量産して高い本塁打率を残せるか。



守備部門・會澤が盗塁阻止率1位、企図数少でもトップに


今季、正捕手の座をつかみつつあった広島・會澤が盗塁阻止率1位に



 守備部門でトップに立った選手で、ゴールデン・グラブ賞を獲得したのはゼロ。二塁手併殺参加数でトップのヤクルト・山田哲人と、西武・浅村栄斗やセ・リーグの外野手直接送球補殺数で1位・筒香嘉智ら、強打者として鳴らす3人だが、守備での貢献度も高いのが分かる。そんな彼らを筆頭に、まさに隠れた“名手”と言える選手たちだ。

 盗塁阻止率では両リーグのトップともに4割超をマーク。セの1位、広島・會澤翼は盗塁刺19個も、盗塁企図数はリーグ最少の28と、強肩を警戒し、相手がスタートを切りにくかったことを物語る。今季、自己最多の93試合に出場して正捕手の座を確立しつつあった會澤。扇の要として広島投手陣を支えた。



先発投手部門・西勇輝の要所を締めるピッチング


得点圏被打率で1位のオリックス・西。ピンチで得点を与えぬ投球がリーグ2位の防御率につながった



 最多勝、最優秀防御率、勝率第一位の“投手三冠”に輝いた日本ハム大谷翔平が、隠れタイトルでも3冠を達成。安打と本塁打を打たれにくく、高確率で三振を奪う。投球内容も文句なしの“投手三冠”を証明した。その大谷の「三冠阻止」に燃えていたオリックスの西勇輝が、得点圏被打率のタイトルを獲得。走者を出しながらも要所を締める投球が、リーグ2位の防御率2.38につながった。

 セ・リーグでは巨人のマイコラスが3タイトルで1位を獲得した。1試合での平均被安打が約6.6本。1イニングに換算すると1本を切っており、加えて5度の満塁のピンチでは無安打に抑え込んだ。



救援投手部門・抜群の安定感示したセ王者のクローザー


ヤクルトの守護神・バーネットが救援部門で三冠に。リーグVへの貢献度の高さが分かる



 救援投手に目を向けると、松井裕樹が、抑え1年目とは思えぬ防御率をマーク。セ・リーグでは、バーネットが3項目でトップに立つなど、リーグVへの貢献度がうかがえる。中でも被本塁打率0.14は圧巻。両翼97.5メートル、中堅120メートルと狭い神宮球場を本拠地としているだけに、62回2/3を投げてわずか1被弾なら、ベンチも安心して9回のマウンドを見守ることができたに違いない。



ワースト部門・藤浪が不名誉の“三冠”に…


不名誉なワースト“三冠”を手にした阪神・藤浪。制球難が数字に表れた



 ワーストレコードに名を連ねてしまった選手たち。それだけ、出場機会を得た証しでもあるが、不名誉な記録は避けたいところだ。中でも、阪神・藤浪晋太郎が3項目でトップに立ってしまった。与四球は84で断トツ。死球も11を与え、暴投は9と制球難が露呈する結果に。とはいえ、今季は14勝7敗で7つの貯金を稼いだ右腕。奪った三振数は221を数え、タイトルも獲得している。“荒れ球”が武器というのもあるが、制球がさらに安定すれば、どんな成績を残すのだろう。不名誉な三冠な一方で、伸びシロも感じさせる。

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