週刊ベースボールONLINE

特集・革新のニューヒーロー
ブレーク寸前!2016年・注目すべき若人たち8選手

 

ヤクルト・原樹理/人懐っこいタフネス右腕


はら・じゅり●1993年7月19日生まれ。兵庫県出身。180cm79kg。右投右打。東洋大姫路高-東洋大-ヤクルト16年1位。1年目。制球力抜群の先発完投型で、即戦力として春季キャンプから一軍帯同している。オープン戦でも好投し、開幕先発ローテーション入りの可能性大



 ドラフト1位右腕・原樹理は5歳と7歳離れた兄を持つ3兄弟の末っ子。

「僕の性格ですか?甘えん坊ですね」とクールな見た目からは想像できないほど、人懐っこい笑顔を見せる。先輩からもかわいがられ、すっかりチームに溶け込んでいる。

 春季キャンプでは休日などもともにしたという小川泰弘からチェンジアップを教わるなど多くのことを吸収。デイビーズらからは指先を鍛えたほうがいい、とアドバイスを受け実践中とのことで「毎日勉強になります。もっと話を聞きたい」と貪欲にレベルアップを図っている。

 3月3日のDeNAとのオープン戦(横浜)に先発した原は伸びのある真っすぐとシュート、カットボールを巧みに操り4回4安打無失点の好投で先発ローテ入りを引き寄せた。ベテラン・石川雅規も認めるそのシュートは原樹の武器だ。

 先発完投型のタフネスさも売りで、昨季のチーム完投数3は12球団最少だっただけに、重宝される存在となりそう。

「『こいつなら大丈夫』と安心感を持ってもらえる投手になりたい」

 近未来のエースへ、念願だったプロ野球選手としての第一歩は視界良好だ。

阪神・高山俊/猛虎ヒーロー誕生か!?


たかやま・しゅん●1993年4月18日生まれ。千葉県出身。181cm86kg。右投左打。日大三高-明大-阪神16年1位。1年目。今年のドラフト1位選手。右手の手術もありキャンプは二軍スタートも最終クールで一軍昇格。50メートル5秒8の俊足。即戦力として開幕スタメンの可能性も



 ブン!という音が観客席にも聞こえるほどスイングは速い。走っても50メートル5秒8と快速。俊足好打の言葉がそのまま当てはまる。ライトへは強く大きな打球。左へはきれいに流し打ちができる安定した打撃フォームを持つ。東京六大学で通算安打記録を更新(131安打)した男だけのことはある。

 金本知憲新監督も「ちょっと想像以上」と絶賛する。昨年に右手有鉤(ゆうこう)骨の手術を受けたことで、キャンプは二軍スタート。しかし3日目のフリー練習で志願打撃を行い59スイング中20本のサク越えを放った。その様子を見ていた掛布雅之二軍監督も「オレ以上かもしれない」と興奮。打撃が終わったときには、監督、観客から大きな拍手が沸き起こったほどだ。一軍に呼ばれた後は、紅白戦でランニング本塁打を放つなど、足の速さも見せつけた。連日報道陣に囲まれながらも、感情を表に出さず落ち着いた風貌を崩さない。この活躍で、人気も急上昇し、営業担当も、早急に高山グッズを思案することになりそうだ。

 3月3日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)では俊足を生かし、遊撃内野安打でオープン戦初安打をもぎ取るなど、足と打撃で高打率も期待できることを示した。今季、実力と人気を兼ねそろえた猛虎ヒーローが誕生しそうだ。

中日・遠藤一星/尾張のイケメン遊撃手


えんどう・いっせい●1989年3月23日生まれ。東京都出身。182cm78kg。右投左打。駒場学園高-中大-東京ガス-中日15年7位。2年目。ショートストップ定着が望まれる期待株。高い打力は主軸を務めるのに十分。守備が課題で、スローイングの精度アップに取り組んでいる



 春季キャンプ中に迎えたバレンタインデーでは、チーム最多となる50個のチョコレートを獲得。侍ジャパンで活躍し、セ界を代表する外野手に名乗りを挙げた平田良介(40個)や、昨季に10勝を挙げてブレークした若松駿太(32個)らを大きく引き離し、「皆さんに感謝です」と表情を崩した。

 人気はファンの期待の表れだ。昨季は4月に死球のために右手首を骨折し、一軍デビューは6月末と出遅れた。しかしそこから快打を連発し、7月には遊撃手に定着。右肩亜脱臼で8月下旬に離脱したが、4本塁打を数えたパンチ力あるバッティングは鮮烈な印象を残した。その打力はすでに認められており、今季こそフル活躍が望まれる。

 課題は昨季41の試合出場で6失策を犯した守備で、キャンプでは連日の特守に明け暮れた。遊撃手のライバルであるエルナンデスは攻守ともに実績があるが、ボーンヘッドもしばしば。遠藤が不安定なスローイングを改善することができれば、定位置奪取への道が一気に開けることだろう。

 多くのベテランが引退し、チームは若手主体へ生まれ変わる時期が来ている。その変革の旗手として突っ走ることができるか。

広島・西川龍馬/二遊間に殴り込み


にしかわ・りょうま●1994年12月10日生まれ。大阪府出身。176cm68kg。右投左打。敦賀気比高-王子-広島16年5位。1年目。攻守走そろった内野手で、高い野球センスが光る。安定した守備で菊池涼介田中広輔の二遊間を脅かす存在



 細身のシルエットに整った顔立ち。プレーぶりもシャープで颯爽としている。菊池涼介、田中広輔の同学年コンビが牙城を築く広島の二遊間だが、そこに殴り込みをかけるドラフト5位ルーキーだ。

 敦賀気比高では1年夏からレギュラーを奪い、その秋からは不動の三番・ショート。高い野球センスが光る。進んだ社会人・王子では野球勘に磨きをかけ、守備、走塁も基礎から学んだ。昨年は侍ジャパン社会人代表にも選ばれており、実力は折り紙付き。これまで大きく報じられることはなかったがチェックしておいて損はない。

 一軍スタートとなったキャンプではまず、守備で「安定した守備を見せている」と指揮官の評価を得た。また、チームの方針である「機動力野球」にフィットする快足と積極的な姿勢も武器。2月中旬から組み込まれている対外試合でも14打数4安打とすべて途中出場で対応力の高さを見せている(3月6日時点)。

 広島の内野陣では、昨季まで試合終盤の守備固めや代打で存在感を放った木村昇吾がFAで西武に移籍。西川にとってはまずそのポジションを自分のモノにするのが先決だ。そしてレギュラーの2人に不測の事態があれば……。攻守走三拍子そろった22歳の若ゴイが、虎視眈々と主役の座に就く機会をうかがっている。
特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング