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新進気鋭メーカーがこだわるグラブの真髄

GLOVE STUDIO RYU・松坂大輔使用で注目度アップ!斬新な素材使いと美しい仕上がりのグラブ/新進気鋭メーカーがこだわるグラブの真髄

 

「GLOVE STUDIO RYU」は中日松坂大輔が使用していることで一躍注目を集めているグラブメーカーだ。その魅力とこだわりを紹介していこう。
取材・文=坂本匠

中日・松坂大輔


構想10年デビュー1年。日本で“一番狭い”工房


 岐阜県内のとある住宅密集地の一角、ここにいま、ドラゴンズファンそしてグラブ好きたちの熱い注目を集める『GLOVE STUDIO RYU(以下、RYU)』の工房がある。家業の事務所の一部を間借りしたという作業場は、お世辞にも広いスペースとは言えないが、メンテナンスの施された機械や、グラブに使用される革などが整頓され、掃除の行き届いた空間には清々しい空気が流れている。

「ひょっとしたら、日本で一番狭いグラブ工房かもしれませんね」

 出迎えてくれた河合龍一氏が笑う。この春、中日に入団した松坂大輔が、4月4日のペナントレース初登板で使用したことで、さっそくネットを中心に「どこのグラブ?」と話題となった『RYU』の代表であり、グラブ作りのすべての工程を独りで行う31歳の若き職人である。

 龍の頭部を、しなやかかつ力強いタッチで表現したラベルが特徴的な『RYU』は、7月30日に一般店頭販売1周年を迎えたばかり。自身の名前の「龍」がブランド名の由来となる若いメーカーだが、構想は実に10年に及ぶ。そもそも河合氏がグラブ作りに興味を抱くようになったのは、「まだ中学生のころのこと」だ。各メーカーのカタログを読み漁り、チームメートのオーダーグラブに触れては想像を膨らませていた。高校は岐阜県内の商業高の野球部に在籍し、卒業を機にグラブ作りに携わる仕事を志望、就職活動をスタートさせる。大手メーカーから小さな町のグラブ工場まで、しらみつぶしにコンタクトを図り、ある会社が下請けとしていた奈良県内のグラブ製作会社(当時は従業員数5名)を紹介してもらえる形でグラブ職人への一歩を踏み出した。

グラブの最後のチェックを行う河合龍一さん


 このころには『RYU』へと続くオリジナルブランド立ち上げを「ぼんやりと」ではあるものの、思い描いており、「グラブがどのような流れで、どのような技術を用いて作られるのか」を理解し始めた入社2〜3年目には本格的に準備を開始した。職人として一人前と認められるにはグラブ作りで必要な各工程を1から10まで担え、かつ製品としてのクオリティーを持つことが求められるが、河合氏で5〜6年の時間を要した。その後は一般向けだけではなく、プロ野球選手数名のグラブ作りを任されるようになり、プロのニーズも学んだという。仕事の傍ら、『RYU』の試作も重ね、方向性が固まった17年4月末、11年間の勤務を経て独立、現在にいたる。

一切の妥協のない仕事。客の期待に応えるグラブ


 ブランドを維持していく上で最も大切なコンセプトには「(1)素材を惜しまないこと、(2)作業の手間を惜しまないこと、(3)美しく仕上げること」の3つを挙げる。

 素材に関しては、特に革の選定が難しく、そしてグラブ作りの命と言えるが、河合氏は自信をのぞかせる。

「下積み時代から10年以上、毎日のように革には触れてきました。その中で自分が作りたいグラブにはどの素材が向いているのかもじっくりと見極めました。こちらが自信を持てる素材で、かつそれをふんだんに使ってお届けしたいです」

 作業の手間と美しさはイコールだ。「私が重きを置いているのは、ステッチの1針1針。1ミリでもズレていたら納得できません。ステッチ1つにしろ、絶対にこうじゃなきゃダメというのを守りながら、縫製の過程で1針1針(ミシンを)踏んでいきます。それが最終的に形になって、美しさへと変わっていくわけです」。こなす仕事ではなく、心を込める。これはどの工程でも同様で、河合氏の仕事には一切の妥協がない。

RYUのグラブの命とも言える美しいステッチは、このミシンから生み出される


「自分が生涯に作れるグラブの数って、もう決まっているんです。となると、悔いの残るグラブを作りたくない。そもそもグラブは高価なものですし、自分が初めてオーダーしたときの昂揚感は今でも忘れられません。そんなお客様の期待に応えられるグラブを作りたいですね」


取材当日に完成したばかりの松坂大輔使用のモデル。ブルーの裏皮を大胆に使用し、見た目にもインパクト十分だが、丁寧なステッチワークで美しい仕上がりに


 写真の松坂大輔に提供されるグラブは、革の裏側をグラブ表面に多く使用しており、見た目にもインパクト十分なモデル。クオリティーの高さは、契約しているわけではない松坂が好んで使用していることが何よりの証明だろう。

 松坂が『RYU』のグラブを手にしたきっかけは、河合氏の知人の松坂ファンが、松坂にプレゼントするために、名前入りの練習用グラブ製作を河合氏に依頼したことがきっかけ。その後、松坂が練習で使用したのを知り、今度は河合氏自ら試合用を製作して別の知人を介して届けると、その3日後の4月4日の初登板で実戦使用。以降は別メーカーとの併用ながら、『RYU』のグラブを唯一取り扱う岐阜県羽島市の『ますかスポーツ』には、松坂が登板するたびに問い合わせが殺到し、宮城から車で14時間をかけてオーダーにやってきたお客さんもいたという。

 ゆくゆくは総合野球メーカーへの夢も持つ河合氏だが、オーダー殺到の状況に「身が引き締まる思い。満足いただける最高のグラブをお届けしたいです」と感謝の日々だ。

GLOVE STUDIO RYUの工房。コンパクトな空間に、作業に必要な機械や工具が綺麗に並べられている


GLOVE STUDIO RYUのオーダーはココ!




ますかスポーツ
http://www.masuka-sports.com/
〒501-6244 岐阜県羽島市竹鼻町丸の内3-34
TEL.058-392-3133
GLOVE STUDIO RYUのグラブは既製品、オーダー(現在は硬式のみ)ともに世界で唯一、「ますかスポーツ」のみで取り扱い中。基本オーダー硬式グラブ5万7000円(税別)

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