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交流戦は来季18試合へ

 

 プロ野球12球団の代表者会議が8月11日、東京都港区の日本野球機構(NPB)で開かれ、来季のセ・パ両リーグによる交流戦を現行の24試合から18試合に削減することで合意した。これまで各カードをホームとビジターで2試合ずつ4試合行っていたが、同一カードの3連戦に変更。隔年でホームとビジターの計6試合を戦う方式となった。これに併せ、各リーグ戦が24回戦から25回戦と1試合増加。交流戦と合わせた1チームあたりの試合数は、従来から1試合減の計143試合となる。

 交流戦の試合数を巡っては近年、「少しでも減らしたい」セと、「できれば増やしたい」パの意見対立が続いていた。主に2連戦の交流戦では、日程の間延びが発生。チーム移動などの兼ね合いもあり、書き入れ時の金曜日に試合がない日や土曜日のデーゲームが組めない場合が出て、さらに集客の難しい月曜日の開催を余儀なくされるケースもあった。

 これらのデメリットに加え、セは「ドーム球場の多いパ(4球場)に比べ、2球場しかないから雨の影響で日程消化が難しい。それが後のリーグ戦のスケジュールを圧迫している」と独自の事情も強調。また、虫食い日程の短縮をすることで、パが積極的な日本代表「侍ジャパン」事業の核に掲げている秋の国際大会をしやすくなる――などのメリットを挙げた。

▲今季は巨人が制した交流戦。来季からは各カード3試合の18試合制となる[写真=内田孝治]



 交流戦を含めた年間日程を話し合う事業推進委員会をはじめとした過去の話し合いでは、本来あるべきリーグ戦優先の見地から12試合や18試合への削減を提案したセに対し、パは「ファンの支持がある」として24試合の現状維持を主張。意見が折り合わないまま、日程作成の概要を決めなければならない7月中旬のデッドラインを越えた。意見は平行線のままだったが、最終的にセ側が「逃げ切り勝ちは許さない。出方次第では、交流戦自体の開催を拒否することもあり得る」とパに通告。ギリギリの交渉の末、セがパを押し切る形に落ち着いた。

 2004年秋、プロ野球は近鉄球団の消滅を発端とした球界再編の波にさらされた。特にパは観客数が伸び悩み、ほとんどの球団が経営に苦しんでいた。そんな中、労組日本プロ野球選手会の要望もあり、セ、パが活性化のために交流戦の導入を決定。導入10年目となった今年の交流戦は、セが3.0パーセント、パが0.1パーセントとともに観客増。だが、リーグ戦よりも交流戦で1試合平均につき3000人近く動員数を伸ばしているパに比べ、セはリーグ戦と交流戦がほぼ同じで、セはパに「食われている」という感覚を否めなかったようだ。

 あるセ球団は導入当初、巨人や阪神など人気カードが減る交流戦を実施することで、年間で約10億円の減収という数字をはじき出したという。それでも深刻なプロ野球の危機を目の当たりにし、年間試合数の4分の1にも相当した交流戦36試合を受け入れたという気持ちがある。あるセの関係者は「自らの血を流して、経営難のパに手を差し伸べたものと解釈している」と語る。

 交流戦は07年、セの強い要求から当時の根來泰周コミッショナーの裁定で、36試合制から24試合制に移行。その後も2年ごとに試合数を議論することを条件としていたが、棚上げのままで、セはパに不信感を持っていたこともある。

「地方に進出したソフトバンク日本ハム楽天などの成功を見るまでもなく、人気面でもパは自立している。もう救済の必要はないはず」(関係者)というのが、セの大方の本音だ。

 パの村山良雄理事長(オリックス連盟担当)は「24試合を維持すべきという意見もあった」と語り、今回の削減が苦渋の決断だったことをにじませた。何かと対立の構図が浮き彫りとなるセ、パの関係だが、今回はセの“勝利”となった。せめぎ合いの内容や決定事項に賛否両論あるにせよ、交流戦がまったくなくなるという事態はとりあえず避けることができた。惜しむらくは、セ・パ両リーグのファンの意見よりも、球団やリーグの思惑が目立った決定だったことだ。
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