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山本和作 内野手 #66

このままでは終われない危機感が

 



 チームのムードを一瞬にして変える男がいる。昨年オフに巨人からトレード移籍した山本和作だ。「僕には後がない。毎日が必死です。与えられた場所で結果を出すだけ」。09年の育成ドラフト3位で巨人入り。11年5月に一度は支配下選手登録となったが、翌年には再び育成契約も同年7月に再び支配下登録。2度の育成を経験した苦労人だ。

 プロ5年目。新天地でようやく華が咲いた。開幕一軍入りを果たし、序盤は守備固めとしてチームを支えた。4月14日の日本ハム戦(京セラドーム)でプロ初安打を記録すると、5月9日のソフトバンク戦(ほっと神戸)では人生初のサヨナラ打を放った。森脇監督も「後がない人間は強い」と、その勝負強さを評価。すると交流戦が始まると遊撃のレギュラーを安達から奪い取った形になった。

 常に明るく何事にも全力で取り組む姿勢がチーム内でも認められ、いじられキャラとして定着している。5月19日のDeNA戦(京セラドーム)ではプロ1号となる決勝アーチで勝利に貢献。ベンチでは手荒い祝福を受けた。「チームを勝利に導けて最高です。ベンチに帰ったらみんなに頭を叩かれました」と満面の笑みで答えていた。

 山本は森脇監督が11年に巨人で二軍内野守備走塁コーチを務めた際の秘蔵っ子。昨年オフに巨人から移籍してきたときに指揮官から「五体満足で生まれてきて、このまま(地元の)川西に帰るつもりか?」とゲキを受けた。その言葉が今でも心に残っている。試合、練習と問わず山本のユニフォームは常に泥だらけ。「何としてでも一軍で活躍する」。“雑草魂”を持った山本が森脇オリックスを勝利に導く。
オーロラビジョン

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