チームを1年間支え続けた。福山博之。パ・リーグ2位となる65試合に登板し、4勝2敗、防御率1.87と安定感を見せた。銀次、則本など好成績を残した選手もいるが、陰でのMVPは福山博之といえる。

　久米島キャンプ中から、当時の星野仙一監督に「いま、一番伸びてるのはサブちゃん」と太鼓判を押されるほど、成長を見せていた。開幕から中継ぎの柱としてフル回転。4月6日のソフトバンク戦(コボスタ宮城)に3番手として登板し、プロ初勝利を記録した。

　DeNAを戦力外となり、2年前に楽天に入団。昨年の日本一も、一軍で経験したが、主力として本格的に活躍したのは今年から。久米島キャンプの早朝の声出しで「先発なら10勝、中継ぎなら60試合登板」を目標に掲げたその宣言どおり、立派な数字で今シーズンを終えた。

　歌手の北島三郎に似ていることから愛称は「サブちゃん」。チームメートの小山をはじめ、多くの選手から可愛がられている。だが、初勝利の試合後、お立ち台では「ここに立つことに慣れていないので緊張していますが、チームが勝てて良かった」と、至って謙虚だった。「僕に白星はいらない。僕が投げるすべての試合の先発投手に白星がつけばいい」というのがポリシー。ムードメーカーなりのパフォーマンスをすることはなく、静かに喜びをかみしめた。

　前半戦の活躍が認められ、オールスターにも初選出。終盤は疲労がたまったか、状態が下降気味だったが、最後まで離脱することなく奮闘した。

　最下位からの巻き返しとなる来季。勝利の方程式として、サブちゃんは欠かせない存在に成長した。