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大野雄大投手・屈辱から挽回

 



 悔しかったを通り越して、屈辱。月並みな表現だが、大野雄大にとってはまさしくピッタリくる試合だった。4月26日のヤクルト戦(神宮)。まだ勝ち星がなかった大野は5度目の先発で炎上した。連続四球から始まって、3安打を浴び、5失点。2回のマウンドに上がることはなかった。それどころか……。

「帰らせた。いねえヤツの話をしても仕方ねえ!」とは当日試合後の森ヘッドコーチ。友利投手コーチも「開幕宣言までした人。みんなの和を乱して迷惑です。責任を取ってもらう」とまくしたてた。降板だけでは済まさず、試合中に東京から名古屋へ強制送還させたのだ。当然、翌日に二軍降格。一般企業で同じことをやったら、間違いなくパワハラで訴えられる。だが、大野はグッとこらえて肥やしにした。

「もっと勝てたという思いはもちろんあります。2年続けて1勝目が5月でしたから。何かが足りない。それは12、1月の過ごし方なのかなと思っています」

 期待の裏返しなのか、首脳陣は大野には辛らつだった。先発投手には許されていた登板2日後の休養日も、自主的に返上するよう『指導』。その効果かどうかは別にして、2年連続の2ケタ勝利はクリアした。昨季と同じ10勝ながら、負け数は10から8へと減らした。強制送還の時点で0勝3敗だったから、5月の復帰後は10勝5敗だったということだ。

「そこは評価している。何とか5年(連続2ケタ勝利)頑張れよ」。落合GMからはこの言葉と1700万円増の4500万円を提示され、一発更改した(金額は推定)。来季の目標は「オレが背おう」。あえて「負」の字を排除した。
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