ジンクスに対する恐れもなければ、高慢さもない。
大瀬良大地は自然体で2年目のジンクス打破に挑む。ルーキーイヤーだった昨季は10勝をマークし、新人王を獲得。年俸も1500万円から推定3500万円にまでアップした。周囲からは自然発生的に「2年目のジンクス」という言葉が聞こえるようになった。だがその言葉が耳に入るたび、大瀬良はニコニコしながら答えてきた。
「よく言われますが、気にしていませんよ。もっとやってくれないと、と期待してくれている方もいると思うので」
目標が明確だからこそ、脇目を振ることもない。スプリットの習得に取り組んだ秋季キャンプを終えると、年末年始の自主トレでは母校・九州共立大に拠点を置いた。早朝から筋力アップをもくろみトレーニングを重ねた。1月中旬からは前田らとともに合同自主トレを行っている。エースから見て盗もうと気合も入る。昨季の数字に満足はしていない。最低ラインに昨季を上回る数字を定めた。
「最低でも昨年以上の11勝。できれば15勝とか、それくらい高い目標を持ってやっていきたいです。防御率も最低3点台前半。目標は高い方が頑張れるので」
大瀬良に課せられたミッションは何もジンクス打破だけではない。
広島のペナントを左右する存在と言っていい。昨年末には電撃的に黒田が加入。層は厚くなり、リーグ屈指の前田と黒田の二枚看板が完成した。だからこそ、脇を固める大瀬良の存在がカギを握ることになる。ダブルエースを支え、流れを引き寄せる働きが求められる。期待の大きさはハンパではない。だがジンクスもプレッシャーも、丸ごと吹き飛ばしてくれるはずだ。