1月22日に35歳の誕生日を迎えた。プロ14年目のシーズンに向け、
石川雅規はどん欲に『進化』を求め続けている。
「最多勝は毎年狙っています。(2008年に獲得した)防御率のタイトルは、一番遠いところにあると思っていたもの。でも勝利の数は、そのままチームを押し上げていける。狙っていきたいです」。背筋をぴんと伸ばし、目を輝かせた。
昨シーズンはジェットコースターのような浮沈を味わった。開幕から6試合白星なし。4月5日の
阪神戦(神宮)で5回持たずプロ入りワーストの10失点を喫するなど、6試合計29失点と目を疑うような大崩れだった。生命線の内外角への制球が定まらない。『小さな大エース』もいよいよ曲がり角か――。そんなときに背中を押したのは、高津投手コーチだった。
「まだまだ老け込む歳じゃない。まだ進化していけるぞ」
5月7日の
広島戦(神宮)でシーズン初勝利を完封で飾ると、その後も波はあるものの終わってみれば10勝10敗。先発ローテーションを守り抜きプロ13年間で実に10度目の2ケタ勝利で、チームの勝ち頭となった。
まだ進化できる――。それを証明するために今オフも精力的に体を鍛える。ジムでの徹底したトレーニングと走り込みで筋肉量はそのまま体脂肪率を4パーセント減らした。栄養学のレクチャーを受け、食事のタイミングや内容も見直し自分の体と向き合っている。「僕の年なんてまだまだ。結果を出して1年でも長く野球をやりたい」
プロ入り前年の01年を最後にチームは優勝を果たしていない。『小さな大エース』が目指すはひとつ。その左腕で最大の白星を重ね頂点に立つことだ。