少ない出番で必死のアピールが続く。
野間峻祥の意地の一打は7月21日の
中日戦(マツダ
広島)、1点を追う7回に出た。一死、投手・戸田の打順で、代打で登場した。フルカウントからの8球目を引っ張り、一、二塁間を割った。「集中して入れました。フォークと真っすぐしかないと思って。逆方向を意識して、真っすぐをファウルにして甘い球を待とうと」。7月12日に打った内野安打を除けば、外野まで転がる安打は6月13日以来だった。
出塁すればほかを圧倒する爆発的なスピードがある。この日も続く田中の打席でスタートを切り、打球が左翼線を転がる間に一気に生還。同点のホームを踏んだ。さらに8回にも4月25日以来となる適時打を右前に運び、4月18日以来の複数安打をマーク。「久しぶりですね」とようやく笑顔が出た。シーズン序盤こそスタメン出場の機会もあったが、次第に守備固め、代走での出番が主となった。7月29日の
ヤクルト戦(神宮)のスタメン出場は5月30日以来。
「頭からでも難しい。途中出場の難しさはあります。プロのレベルも高い。でもそこで結果を残さないと、レギュラーにはなれない」
緒方監督は、
鈴木誠とともに野間をここまで一軍に置き続けている。自身が広島の育成システムからレギュラーをつかみ取った経験も、方針に影響を与えているだろう。代走、守備固めでは積極的に2人を起用し、経験を積ませている。一軍での1打席が二軍でフル出場するよりも経験になることもある。目先の勝利だけではなく、数年後の広島を背負って立つ選手を育てる使命もある。野間は与えられたチャンスをつかみ取らなければならない。