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増井浩俊投手・新守護神として進撃の1年

 



 最後の砦を全うしたシーズンだった。初めて守護神として開幕を迎え、抜群の安定感でチームを支えた。56試合に登板して球団記録タイの39セーブをマーク。ソフトバンクサファテにセーブ王は譲ったが、防御率は1.50。1年を通して、絶対的な存在感を発揮した。5年連続50試合以上登板も達成した6年目は、セットアッパーからストッパーへ完全移行する節目の年となった。

 磨き上げた直球とフォークで強打者を次々と牛耳った。昨オフは最速150キロを超える真っすぐを見直した。腕の振り、リリースポイントなどを追求し、キレと伸びのあるボールへ進化させた。副産物として、フォークの落ちも鋭さが増した。真っすぐと同じ軌道で、打者が打ちに行く瞬間にストンと落ちる。原点回帰した取り組みが、結果へつながった。

 普段は穏やかな、親しみあふれるキャラクターだ。後輩からも声を掛けられ、時にアドバイスを送る。今季、セットアッパーとして開幕を迎えた3年目の鍵谷には「とにかく最初から全力で投げろ」と助言した。経験の少ない後輩から試合への入り方や心構えを問われれば、いつでも相談に乗った。2年目から強力ブルペン陣を支える一翼となった。豊富な経験を惜しみなく伝授した。

 11月の国際大会「プレミア12」に侍ジャパンの一員として臨む。「目指していた調子の波が小さい投球ができたことを評価していただいた」。着実にキャリアを積み重ね、たどり着いた最高峰の舞台。昨季はリードを守れず、悔し涙を流した試合もあったが、精神的に図太くなった。線の細い体から繰り出す力強い投球で、世界を相手にしても快投を見せるはずだ。
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週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

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