15勝を挙げ、
西武時代の2009年以来となる最多勝を獲得。エースとしてチームをクライマックスシリーズ進出に導いた
涌井秀章は「最多勝は先発投手の栄冠。西武ではがむしゃらだったけど今年は立場もチームも違う」と喜びをかみしめた。
1年間ローテーションの中心として回り、投球イニングは則本(
楽天)に次ぐリーグ2位の188回2/3。登板28試合のうち、5回をもたずにマウンドを降りたのは2度だけだ。8勝12敗に終わった昨季とは見違える成績を残した。
出色だったのは
日本ハムと戦ったCSファーストステージの第3戦(10月12日、札幌ドーム)。1回に1点を失うが、その後は粘った。3回には無死満塁から近藤を投ゴロに仕留めると「絶対ゼロでいこう」とギアを上げ、続く
レアードを外角低めのフォークで空振り三振。最後は矢野を二飛に打ち取り、無失点で切り抜ける。7回途中まで143球を投げて1失点。後のないチームを救った。
第2戦ではチェンが5回1失点と好投したものの、8回にセットアッパーの大谷が打たれて逆転負けしており「チェンも頑張っていたし、大谷さんも落ち込んでいた。負けをなくしてあげたかった」と大黒柱らしい姿を見せた。
新人時代に涌井を見出した伊東監督は、その活躍ぶりを「最多勝も取ってくれたし、CSの日本ハム戦でもすごい投球をしてくれた。復活したと言っていい」とたたえた。その上で「10までとは言わないけど、それくらい貯金をつくってほしい」と注文。今季は勝ち越しが6つ。背番号16は真価を問われる来季へ「去年より成績はいいけど、もっと負け数を減らさないと」と一層の奮起を誓った。