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ソフトバンク 嘉弥真新也・“新”左キラーに君臨するために

 


 小さな左腕が、V奪回へ向けて重要な役割を果たす。4月23日の楽天戦(ヤフオクドーム)。7回一死一塁で、嘉弥真新也が茂木を左飛に打ち取ると、続くペゲーロを背中側からグイッとストライクゾーンへ曲がるスライダーで空振り三振に仕留めた。開幕から好調を維持し楽天のスタートダッシュの原動力となった一、二番コンビを、完璧に料理。「左キラー」として役目を遂行できることを、しっかりとチームに示した。

 昨秋に転機を迎えた。左の中継ぎとして長らくチームを支えてきた森福が、巨人へFA移籍。“ポスト森福”の1番手としてすぐに名前は挙がったが、チームも本人にも不安はあった。2年目の2013年に40だった登板数はその後32、16と減り、昨季は5まで激減。173センチ68キロの小さな体を補おうと球威を求めた結果、細かな制球が犠牲になったことが原因だった。昨秋、佐藤投手コーチの勧めもありサイドスロー転向を決意。森福、日本ハムの宮西ら変則左腕の映像をむさぼるようにチェックし、左打者にいかに嫌がられるかを追い求めた。

 春季キャンプはブルペンでは理想のフォームで投げられても、打者を相手にすると投げ急いでしまい、サイドスローを「完成」させることができなかった。それでもオープン戦など実戦での修正を重ね、シーズンに間に合わせた。

「左打者なら嘉弥真に任せておけば大丈夫と思ってもらえるように結果を出し続けるだけ」。体は小さくとも大きな心意気を見せる左腕が、日本一奪回の切り札となる。
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