力強い真っすぐが、大記録達成のベースになっている。
則本昂大は、本格派らしい投球で白星と三振を積み重ねている。自己最速は、2015年プレミア12の際、リリーフとして計測した157キロ。単純なスピードだけではなく、伸びもある制球されたストレートは、両リーグの強打者たちを困らせている。
最も力強かったのは、6月1日の
巨人戦(Koboパーク宮城)だ。初回の初球に156キロをマークすると、8回に阿部に対しても156キロ。阿部に対してのものは自身の128球目と、最初から最後までベストに近い真っすぐを投げ込んでいる。8回2失点で12奪三振。7試合連続2ケタ奪三振と、
野茂英雄(近鉄)が持っていた6試合連続の日本記録を更新した。
投げ込みが直球に進化をもたらした。勢いはもちろんだが、本人が成長を実感しているのは制球力。「コントロールが成長したと思う。自主トレの段階からしっかりと投げ込めた。そこは、数をこなさないといけない部分なので。中継ぎ陣も状態がいいので、初回から飛ばしていけている」。向上した制球力と飛ばし気味に入れるチーム事情から、少ない球数での勝負を実現。結果的に長いイニングを投げ、それが三振数にもつながっている。
これまでフォークを決め球としてきたが、今季はスプリットを導入。三振奪取の大きな武器となっているが、それも直球があってこそだ。新たな変化球と進化した直球の相乗効果が、エースをさらなる高みへ導いている。