昨季まで3年連続で勝ち星は9。来日5年目を迎えたディクソンは今季こそ悲願の2ケタ勝利を目指す
普段はクールな右腕が珍しく興奮していた。
「今回の契約はこみ上げるものがたくさんあったね。家族みんながエキサイティングな気持ちさ。アメリカに帰ることも頭をよぎったけど、子どもたちは日本がホームだと思っているからね。日本が僕にとってのホームなんだって決断したんだ」
来日して今季で5年目、毎年安定した勝ち星を重ねたことが評価され、来季から新たに2年の複数年契約を結んだ。2人の子どもは日本で育ったこともあり、ディクソンだけでなく家族みんなで話し合って残留を決めたという。そんな愛する存在のためにも、毎年立ちはだかる“壁”の打破に燃えている。
今季は開幕から4連勝するなど、チームの開幕ダッシュに貢献。しかし、暑さとともに成績も低迷した。大崩れはしていないものの、勝ち星がついてこず、9月18日時点で8(9敗)勝止まりとなっている。
日本に来てから昨季までの4年間、9勝で終わった年が3度。昨季も8月下旬に王手をかけながら、6戦続けて白星に恵まれず大台を逃した。それだけに今季こその思いは強い。女房役の
若月健矢とも「今年こそ10勝しよう」と常々話しているという。
本格的な秋の到来を前に、調子は再び上向いてきている。9月1日の
西武戦(ほっと神戸)では3回途中5失点で降板したものの「調子はすごく良かった。だからこそ積極的にストライクを取りにいこうと投げたんだけど……」と振り返った。
悲願達成へ、32歳の助っ人は最後まで諦めない。
写真=桜井ひとし