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連敗にもめげないヤクルト・ブキャナン

 

なかなか勝ち星には恵まれないが、好投を続けているブキャナン


 それは珍しい光景だった。8月11日の中日戦(ナゴヤドーム)で7安打2失点で完投勝利を挙げたブキャナンが試合終了直後、ウイニングボールを手にしたまま三塁方向へ小走りで向かっていく。そして三塁ベース付近から、ヤクルトファンが陣取る左翼席へボールを投げ入れた。

「ボールを投げ入れたのは初めて。ファンがしっかり応援してくれるからうれしくて。ファンの皆さんが、いつも自分の名前を大きな声で呼んでくれる。本当に大きな力になります」

 この中日戦で白星を挙げ、6月30日の阪神戦(甲子園)以来の勝利となる6勝目。自身の連敗 を5で止めた。「負けが続いていたときも、ボール自体は悪くなかった。結果も野球の一つだし、それほどストレスがたまるということもなかったよ」。

 ブキャナンはメジャー・リーグ、フィリーズ時代に通算8勝(17敗)にとどまったが、来日1年目のヤクルトでは先発ローテーションで奮闘している。150キロ前後の直球を投げ込み、変化球はチェンジアップやカーブが武器。登板のほとんどで、対戦カードの初戦を任されている。

 昨シーズンオフ、ブキャナンにはヤクルトだけでなく、メジャー2球団と韓国2球団が獲得オファーを出していたという。今季は打線の援護が少なく、黒星が先行している。それでも球団は貴重な先発右腕としてブキャナンの引き留めに乗り出すとみられ、その去就が注目される。

写真=BBM
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