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【大学 University】

第39回日米大学選手権大会注目プレーヤー(1)
大城戸匠理[外野手/法大4年]

東京六大学の首位打者が初めて挑む世界の舞台

▲春の東京六大学リーグ戦の勢いそのままに、日米大学選手権に挑む法大・大城戸[写真=田中慎一郎]



 春の東京六大学リーグ戦で打率.488という高打率を残し、首位打者に輝いた。それまでの状況を考えれば、“大ブレーク"と言っていい。そして勢いそのままに、7月6日に開幕する日米大学選手権大会の日本代表メンバーとして、堂々と名を連ねることとなった。「“善波ジャパン”で会いましょう」

 春季リーグ戦の閉会式後、大城戸はそう言って笑顔で球場をあとにしたが、そこに至るまでにはさまざまな感情が絡み合い、解きほぐすまで時間を要したに違いない。「天国から地獄」。勝負事でよく用いられる言葉ではあるが、今季ほど間近に突き付けられたことはなかっただろう。

 開幕早々からライバルの早慶が立て続けに痛い星を落としていく中、法大は順調そのものだった。その中心にいたのは、間違いなくこの大城戸だった。開幕カードの東大2回戦では5打数5安打の大暴れ。神長英一監督と二人三脚で取り組んできた「早く始動して間ま を長く持つ」打撃がいよいよ開花を果たしたのだった。

 しかし、良いことばかりではなかった。2安打を放った4月27日の慶大1回戦、塁上で捕手からの送球を右足に受け、親指のツメがめくれるアクシデントに見舞われた。我慢してプレーを続けたものの、出血がひどく“ドクターストップ”。このカードは欠場することとなった。

 ただ、次カードの立大2回戦からスタメン復帰を果たすと同点弾で存在感をアピール。その後も打率5割前後をキープし続けた。

 迎えた明大との「優勝決定戦」では3回戦までに1勝1敗1分の五分。この時点で打率は.541。東京六大学史上最高打率の.535(喜多隆志=慶大)を上回っていた。「ここで終わりならいいけれど、出ないわけにはいかない」

 個人成績よりもチームの優勝。そう心に誓って臨んだ明大4回戦だったが、結果は4打数無安打。2対3で敗れ、顔色を失った。

 ただ、これは意味のある敗北。そう思えるのは“心”の成長があってこそだ。かつてはエリート選手に対して嫉妬心しかなかったが、今季は一番打者としてチームの攻撃を“動かす”喜びを味わった。ただ、嫉妬心から形を変えた反骨心は健在である。たたき上げの男は、さらにレベルの高いエリートたちの中で、今以上の存在感を発揮すべく腕を撫している。
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