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【大学 University】

野球殿堂博物館へ記念ボールを寄贈

完全試合達成のボールが野球殿堂博物館入り
東京六大学史上3人目の偉業を成し遂げた早大・高梨

▲東京六大学史上3人目の完全試合のウイニングボールを野球殿堂博物館に寄贈した早大・高梨。左手に記念球、右手には同博物館からの感謝状を持つ[写真=ワンダン・ダワー]



 今春の東京六大学リーグ戦の東大2回戦(4月21日)で、史上3人目の完全試合を達成した早大・高梨雄平投手(3年・川越東)が7月19日、ウイニングボールを野球殿堂博物館に寄贈した。しばらくはメーンロビーに展示。その後は同2人目の達成者である立大・上重聡(現日本テレビアナウンサー)と、2002年に法大・江川卓(元巨人)の持つ東京六大学の個人最多奪三振記録(443個)を更新した早大・和田毅(通算476個、現オリオールズ傘下)の記念ボールの横に置かれるという。

「偉大な先輩方と並んで展示していただけるということで光栄です。『完全試合』に恥じないように、さらに精進していきたいと思います」

 埼玉・川越東高では甲子園出場はないが、高い野球センスが評価され、スポーツ推薦入試を経てワセダの一員となった。1年春から10試合に登板し、同秋の明大2回戦で初勝利。同秋は5勝、昨春は4勝を挙げ優勝に貢献。だが、昨秋は左ヒジ痛と左足首痛に苦しみ1勝に終わる。昨年12月には左足首の手術に踏み切った。復帰戦の東大戦で、慶大・渡辺泰輔(64年春、立大2回戦)、立大・上重(00年秋、東大2回戦)に次ぐ快挙を遂げたのだ。最速143キロ。カーブ、スライダー、チェンジアップを低めに集めるのが持ち味である。

 完全男――。高梨が投げるたびに、ついて回る。「プラスにしていきたい」と、その称号を背負っていく覚悟を決めていたが、東大戦以降は3試合未勝利。明大4回戦と法大2回戦では1回を持たずKOされている。

 高梨は今流行りの「二刀流」だった。今春までの通算打率は.391(46打数18安打)。この春はチーム事情により、立大戦2試合と法大1回戦を「六番・一塁」で出場。バットでもチーム屈指のミート力を誇るが、今春のシーズン後に早大・岡村猛監督から「投手一本」を宣告されている。「両方をやるのは大変だと、本人も気付いていた。守っている野手の気持ちも、あらためて理解できたと思う。完全試合の結果より、チーム内から信頼される投手になってほしい。課題は制球力。『困ったら高梨』という存在になってほしい」(岡村監督)

 東京六大学の現役最多勝利投手は法大・石田健大(広島工)の15勝。2位タイに高梨と明大・山崎福也(日大三)の11勝、また早大で同僚の有原航平(広陵)は10勝と、上位4人が3年生の同級生ライバルがひしめく。

「復調ではダメです。進化しないと。横山さん(貴明、4年・聖光学院)、有原、吉永(健太朗、2年・日大三)と内田(聖人、2年・早実)ら、まずチーム内の競争に勝たないといけない。春は4位。秋はチームの優勝と、自分が投げる試合はすべて勝ちたい」

 真価が問われる秋。高梨は「過去の栄光」を引きずらずに、前だけを向いていく。(取材・文=岡本朋祐)

PROFILE
たかなし・ゆうへい●1992年7月13日生まれ。埼玉県出身。176cm74kg。左投左打。
高階南小3年時に川越リトルで投手として野球を始め、高階西中では川越シニアに在籍。
川越東高では元ヤクルト投手・阿井英二郎監督(現日本ハムヘッドコーチ)の指導を受ける。1年春にベンチ入りし、同秋からエース。
2年秋、3年春夏の県大会4強が最高成績。
早大では1年春から登板して、同秋には5勝をマーク。
東京六大学通算34試合、11勝5敗、防御率2.29。
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