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第41回社会人野球日本選手権

 

先発・小畑彰宏[大阪ガス]と救援・福島由登[Honda]が延長の好試合を展開


 主役の一人を演じた大阪ガスの小畑彰宏(青学大)に、気負いやプレッシャーという類の感情はなかった。

「相手打線を考えたら、いつかは(ヒットは)出るものだと思って投げていたので、特に意識はしなかった」

 ホンダとの準決勝だ。先発マウンドを託された3年目右腕は、強力打線を7回裏の一死まで無安打に抑えた。五番・川戸洋平(日大)に初ヒットとなる左前安打を浴びても、冷静さを失わずに無失点を続けた。

 8回以降も変わらない。右横手から放たれる140キロ台のストレートを「この試合では勝負球に使った」というピッチングが崩れることはなかった。ただ、球数が120球を越えた9回裏、マウンド上の小畑が何度か両足を屈伸する姿を見せる。真相はこうだ。「8回ぐらいから右足がけいれんしました。探り探りで投げていた感じです」。味方打線も無得点。「点を与えられない」という思いが、無意識のうちに体に負荷をかけていたのかもしれない。それでも小畑は投げ続けた。

 無失点を継続した原動力の一つになったのが、相手マウンドの存在だった。ホンダは8回表一死一塁から3番手の右腕・福島由登(青学大)を投入した。

「福島が出てきて、アイツには負けたくないと思って投げていた」


青学大出身の3年目右腕の大阪ガス・小畑(上)とHonda・福島は、息詰まる好ゲームを見せてくれた[写真=佐藤真一]



 小畑と福島は、大学の同級生だ。「大学時代にほとんど実績を残せなかった」という小畑は東都通算1勝。一方の福島は、大阪桐蔭3年夏に甲子園優勝投手となり、青学大時代も1年春から登板機会を与えられてリーグ戦44試合に登板して通算7勝をマークした。普段は「仲が良い」と小畑は言う。だが、マウンドに立てば話は別だ。両者は互いに同じ投手として「負けられない相手」と意識する。昨年の都市対抗3回戦では、社会人野球で初めて両者が投げ合った。先発で7回1失点の福島に対し、小畑は4回途中から登板して無失点。勝利投手となったのは小畑だった・・・

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