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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

中堅手へのフライ、帽子を使って打球をキャッチした場合正規の捕球と認められる?

 

中堅手の頭上に高いフライが上がりました。ゆっくり落下点に追いついた茶目っ気のある中堅手は、グラブの代わりに帽子を脱いで、その中にボールを収めました。これは正規の捕球になるでしょうか。

 いつかアメリカの女子野球をテーマにした映画『プリティ・リーグ』の中に、外野手が帽子でフライをキャッチする場面がありました。しかし、これは正規の捕球とは認められません。打者アウトとはならず、なんと三塁までの進塁が許されます。

 野球規則でいう捕球に関しては規則2.15に記されています。

「野手が、インフライトの打球、投球または送球を手またはグラブでしっかり受け止め、かつそれを確実につかむ行為であって、帽子、プロテクター、あるいはユニフォームのポケットまたは他の部分で受け止めた場合には、捕球とはならない」

 そのように定義されています。

 さらに打者を含む各走者に3個の塁を与える規則7.05(b)には3個の塁が与えられる場合として以下のように記されています。

「野手が、帽子、マスクその他着衣の一部を、本来つけている個所から離してフェアボールに故意に触れさせた場合」

 問題のケースはこの規則に抵触してしまうのです。打球にグラブをぶつけて止めたときには、3個の塁が与えられることは常識ですが、フライを帽子でキャッチしても、同じ扱いになるのです。

 記録の規則である10.06(e)には「打者が7.05または7.06(a)の規定に基づいて二個または三個の塁、あるいは本塁打が与えられる場合には、二塁打、三塁打、本塁打と記録する」とあります。

 質問にあるように中堅手がフライを帽子でつかんだ場合、打者には三塁打が記録されるのです。

 この珍しいプレーは、かつてアメリカのマイナー・リーグで起こったということです。日本のプロ野球では実際にルールが適用されるプレーは起きていません。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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