平凡な高いフライを中堅手がグラブの代わりにかぶっていた帽子を脱ぎ、その帽子で打球をつかみました。これは正規の捕球として認められるのでしょうか。

　ボールを地面に落とさずに捕球したのなら、正規の捕球と認められると誤解されがちですが間違いです。このようなプレーに対しては、打者には三塁までの安全な進塁が許されます。

　野球規則でいう“捕球”とは、規則の定義15にしっかりと規定されています。その内容はこうです。

「野手が、インフライトの打球、投球または送球を、手またはグラブでしっかりと受け止め、かつそれを確実につかむ行為であって、帽子、プロテクター、あるいはユニフォームのポケットまたは他の部分で受け止めた場合は、捕球とはならない」

　それどころか、打者、走者の安全進塁権について触れられている規則5.06(b)「進塁」の(4)の(B)には、「3個の塁が与えられる場合」として

「野手が、帽子、マスクその他着衣の一部を、本来つけている個所から離して、フェアボールに故意に触れさせた場合」

　と定められており、質問のケースでは打者に三塁への安全進塁権が与えられることになります。なお、これには続きがあって、「この際はボールインプレイであるから、打者はアウトを賭して本塁に進んでもよい」とあります。

　女子野球を題材にした映画の『プリティ・リーグ』で、外野手が帽子を取ってフライを捕る場面がありましたが、これは映画の話で本来なら捕球とは認められません。5.06(b)の(4)の(C)には「野手が、グラブを故意に投げて、フェアボールに触れさせた場合」も3個の塁が与えられるとありますが、グラブを投げても当たらなければ、ペナルティーはありません。