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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

ファウルの打球が直撃、球審が試合続行不可能に。二塁塁審が球審に回り、3人体制で再開されたが野球規則上は問題ない?【後編】

 

2018年5月15日(日本時間16日)に行われたエンゼルス対アストロズ(アナハイム)の3回、大谷翔平選手が打ったファウルボールが球審を直撃し、続行が不可能となり、二塁塁審が球審に回り、3人体制で試合が再開されました。規則上、問題はなかったのでしょうか。

 前号(6月4日号)では審判員にケガや体調不良などのアクシデントがあった場合に野球規則8.02(d)によって変更が認められており、また試合を続行する場合の審判員の人数については各リーグの取り決めによることを説明しました。

 ではプロ野球のペナントレースで試合開始時に審判員が何らかの事情で到着していなかった場合はどうなるか。こちらもかなりのレアケースですが、これは野球規則ではなく、NPBの場合、セ・パ両リーグのアグリーメントに対応が定められています。

 この場合、例えばセ・リーグではリーグ統括が両監督に互いの相手チームから公式打順表に記載されていない選手、コーチ、マネジャー、球団職員から2名ずつを選出させ、その4名に正規の審判員と同じ権限を与え、試合を開始するのです。球審、二塁をホームチーム、一塁、三塁をビジティングチームが受け持つことまで決められています。なお、1時間以内に正規の審判員が到着可能な場合は、リーグ統括が開始時間を遅らせることを指令します。

 1992年5月6日の中日広島(浜松)で、予定時刻(試合開始2時間前)に審判団が到着していないことがありました。東海道新幹線がブレーキ故障のため、在来線で球場に向かっていたのです。

 4名の審判員は午後5時57分に球場に到着。試合開始時刻を遅らせ、6時14分のプレーボールで試合は始まりました。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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