無死ランナー一、二塁で、打席に立った打者は、ショート正面に火の出るような強烈なゴロを放ちましたが、大きくリードを取っていた二塁走者がこれを避け切れず、ショートの目の前で当たってしまいました。これを見たショートは素早くボールを拾い上げて一塁へ送球し、打者走者はゆうゆうアウトのタイミングです。この場合の判定はどうなりますか? 走者に打球が当たる例はこのコーナーでも何度か紹介してきました。今回の問で最も間違いやすいのは
「二塁走者も打者走者も、ともにアウトで二死一塁で再開」というものではないでしょうか。
守備機会の残されているショートの目前で打球に触れてしまった二塁走者がアウトであることは分かると思います。これは“走者アウト”について触れた野球規則5.09(b)(7)に
「走者が、内野手(投手を含む)に触れていないか、または内野手(投手を除く)を通過していないフェアボールに、フェア地域で触れた場合」アウトになると定められています。
また、これに続けて
「この際はボールデッドとなり、打者が走者となったために次塁への進塁が許された走者のほかは、得点することも進塁することも認められない」とあり、問のケースでは打球が二塁走者に当たった瞬間にボールデッドとなりますから、この後、転がったボールを拾い上げて一塁に送球しても打者走者をアウトとすることはできません。
つまり、打者走者は一塁に生きて、打者が走者となったために一塁走者は二塁へ進塁が許され、
「一死一、二塁から再開」がこのケースでは正しい判定と言えます。
ちなみに、5.09(b)(7)の【注1】には、これらのケースで走者に守備を妨害する意図がある、なしに関わらず、野手に触れる前に走者に打球が触れた際には走者はアウトになると決められています。(文責=編集部)