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岡江昇三郎

あえて“悪役”を演じる中日・落合GM。昔から査定者は憎まれ役だったが、外国人に甘く日本人に厳しい“イヤな体質”は改められた

 

 中日落合博満GMの情け容赦ない(?)コストカッターぶりが話題になっている。彼の現役時代は、契約更改交渉で粘りに粘り、年俸調停にまで持ち込んでいたのだから、苦笑してしまうのだが、彼は、その立場、立場で目一杯やることをやる、という主義なのだろう。選手なら自己を最大に評価してもらうのが仕事だし、GMなら、ムダ金を使わず、チームを強くするのが仕事なのだから。

選手に軒並み減額制限いっぱいの年俸を提示してきた落合GM[写真=佐藤真一]


 契約更改では、いつの時代でも査定の担当者が“悪役”にされる。この悪役で思い出されるのが、巨人V9から第1次長嶋政権の初めのころの一軍査定担当だった佐伯文雄さん(一軍担当常務)だ。

 球団事務所で佐伯さんとの交渉を終えて出てきた選手の顔は、渋面ばかり。時には怒りの表情を隠さず、記者たちが口を開く前に「オレを何だと思ってるんだ!」と不満を爆発させる選手もいた。V9エースの堀内恒夫投手でもV9中には2000万円を超えず、故・土井正三内野手も1500万円に届かなかった。V9の間に20勝を2度もマークした高橋一三投手でも1000万円弱。下交渉を十分にやっていつも一発更改の長嶋茂雄王貞治の両雄だって5000万円前後。

 これは何度も書いたことだが、75年に巨人に入団したD.ジョンソン内野手と比較するとよく分かる。彼は王並みの年俸(多分、6000万円ぐらい)に田園調布に家を借りてもらい、この家賃が月50万円。9カ月ぐらいしか住まないとしても敷金その他で600万円ぐらいはかかっているハズだ。巨人で年俸600万円以上の選手はそう多くはなかった時代である。それに当時は単年契約しか許されなかった日本人選手と違い外国人選手は複数年契約が当たり前で、おいしいインセンティブも必ず付いていた。

 こういう話は、選手にはすぐ伝わるから、契約更改の席での佐伯さんは、「おかしいじゃないですか!」と集中攻撃を浴びたに違いない。しかし・・・

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プロ野球観戦歴44年のベースボールライター・岡江昇三郎の連載コラム。

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