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Vol.6 多和田真三郎(富士大・投手) 将来性抜群の逸材

 

1年秋の神宮大会でノーヒットノーランを達成し一躍注目の的となった右腕・多和田真三郎。しなやかな腕の振りから投げ込まれるストレートは、150キロを超える。高い将来性を持ったドラフト最上位候補の一人である。

 ドラフト上位候補と断言できる右腕。最速151キロを誇るストレート(8.5)は非常に魅力的だ。柔らかく使える右ヒジと思い切りの良い腕の振り、そして先天的に持っている高い能力がこのスピードボールを生んでいる。しかし、投球フォーム(8.5)は決して良いとは言えない。軸足にタメがなく、前に倒れ込むように投げているため、ほとんどがシュート回転している。そのため両コーナーに投げ分ける制球力(7.5)は持っていない。カーブやスライダー、フォークなどの変化球(8.5)もキレがあるとは言えず、すべてのボールが真ん中に集まるアバウトなピッチングが目立つ。


 原因は投球フォームにある。左足の引き上げまでは良いが、前述したように軸足のタメが甘く、投げ急いでいるように見受けられる。上体だけで投げてしまっているため、上半身と下半身のバランスが悪い。大事なのは軸足に間を作ること。すると左壁も生まれ、シュート回転が改善されていくだろう。回転の良い真っすぐを投げることができれば、すべてが好転する。ストレートの質、変化球のキレ、コントロール。苦労している投球術(8.0)にも間違いなく幅が出る。

 フィールディングは素晴らしく、守備力(8.0)は高い。右方向への打球に対する一歩目、バントに対する備え、ランナーを背負ったときのけん制、そして各塁への送球。現状に甘えることなく、このまま練習を積んでいってほしい。

 強いメンタル(8.0)を本来は持っているはずだが、4回途中7失点でマウンドを降りた神宮大会1回戦(11月14日、対創価大)では感じられなかった。連打されたときでも踏ん張れる投手。全国大会のマウンドを何度も踏んでいる経験豊富な投手だけに、粘りを意識することも大切である。

 ちなみにこの試合は、今後の教訓となる一戦になったはずだ。スコアブックを見返せば、二回り目に入った打線に芯をとらえられていることが分かる。いくら150キロを超すボールでも、真ん中に集まってしまえば打たれてしまう。コースが甘ければダメ。きっちりとしたコントロールが必要。そのことを身に染みて体験した試合だったのではないだろうか。

 肩のスタミナ、持久力も含めて体力(8.0)はある。ただ、投球フォームを固めたいので、下半身強化を意識してもらいたい。

 現時点での総合力(8.0)に高い評価を与えることはできないが、将来性(9.0)は抜群。ヒジを柔らかく使えるマリナーズの岩隈久志に近いタイプだ。

 1年生秋の神宮大会でノーヒットノーラン(対国際武道大)を記録しているが、そのときの低めをていねいに突くピッチングをもう一度思い出してほしい。ここ2年で伸びたのはストレートのスピードだけ。変化球の精度、制球力、投球術は上達していない印象だ。球速にこだわっているかは分からないが、スピードアップはもう十分。球持ちを長くし、回転の良いボールを投げることが大事だ。そうすれば、打てそうで打てない、キレがあるストレートを投げることができるだろう。

■採点表
投球フォーム 8.5
ストレート 8.5
変化球 8.5
投球術 8.0
制球力 7.5
守備力 8.0
メンタル 8.0
体力 8.0
将来性 9.0
総合力 8.0
合計 82.0
※採点の基準は2015年のドラフト対象選手

PROFILE
たわた・しんさぶろう●1993年4月13日生まれ。沖縄県出身。181cm 81kg。右投右打。津覇小1年から津覇少年野球クラブで野球を始め、4年から投手。中部中を経て中部商高では1年秋からベンチ入りし、2年秋からエース。2年夏の県大会準々決勝では糸満・宮國(現巨人)と互角の投手戦も敗退。3年夏は決勝で同校に敗れて甲子園出場なし。プロ志望届を提出も、ドラフトでは指名漏れ。富士大では1年春から登板機会に恵まれ、同秋から主戦で、MVPを受賞。代表決定戦は3連投で神宮大会初出場へ導き、国際武道大との2回戦で無安打無得点を記録。北東北リーグでの通算成績は36試合、26勝7敗、防御率1.71。

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プロフェッショナルレポート

元巨人チーフスカウトで現在はベースボールアナリストとして活動する中村和久によるドラフト候補生の能力診断。

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