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第25回 広瀬叔功「クセを見抜く盗塁は間違ってる」

 

プロ野球の歴史を彩り、その主役ともなった名選手の連続インタビュー。第25回は広鷭埜氏の登場だ。南海ホークスが栄華を誇った時代、卓越したバッティング技術と盗塁技術で中心選手として活躍。そのプレーで大阪の街を熱狂させた男が、自らの野球哲学を語る。
取材・構成=大内隆雄 写真=BBM



クセを見抜いて走るレベルではダメ
相手に関係なく成功する技術を身に付けよ


広鷸瓩596回も盗塁を成功させ、しかも、その成功率.829!

61年に初の盗塁王になると、5年連続のタイトル。この間の失敗数は6、9、7、9、8と、いずれも1ケタ。“世界の盗塁王”福本豊(阪急)は、70年から13年連続盗塁王となったが、この間の失敗数はすべて2ケタ。うち10回は“失敗王”。この数字には、日本のプロ野球を代表する盗塁王の“哲学”の違いがハッキリと表れている。

福本氏は、とにかく企図数を増やすことに全力を注いだ。これに対して広鷸瓩蓮∪功しなければ盗塁の意味がないという走り方だ。もちろんそれは「セーフになる楽な盗塁しかしない」ということではない。広鷸瓩蓮◆崗〕に直結する盗塁をしたい。だから必ず成功させなければならない」と言う。


 私が首位打者になった1964年(打率.366)は、けんしょう炎でバットが振れない時期がありました。そうすると競った試合の終盤の代走というのが仕事になります。私は、この年、こういうケースで100パーセント成功させました。それはこの年の優勝に役立ったと思います。これが盗塁なんですよ。

 この成功は、結局、日ごろの練習の成果なのですが、盗塁はね、相手投手との駆け引きの前に、自分の盗塁、走塁の能力をいかに高めるか、これが大事なんです。あるとき、福本が「若い投手のクセはすぐに分かりますね」と私に話したことがありました。そういう走り方は間違ってるぞ、と私は言いました。投手がとてもうまい人だったら走れんでしょうが。クセを盗めない投手だったらどうするんですか? そうではなくて、投手が誰であろうと成功する技術を身に付けることが大事なんです。

 私はスタートを切れる技術、帰る技術、まずそれをトコトン練習して身に付けました。投手が右投手なら左足を上げる瞬間に全神経を集中してスタートを切る。これができるようにならないとダメです。さらに、ちょっと難しい表現になりますが、スタートを切る形を利用して帰る、この技術をマスターしないと、ぶざまなけん制アウトを食らってしまいます。走り出したら、次はセカンドベースにいかに早く届くスライディングができるか、この勝負になります。

 スライディングは捕手からの送球によって、ベースの右左をフルに使わんとダメです。ベースに入る野手が、走者をだまそうとしても、グラブと目だけはだませんのです。このグラブの位置と動きと目を見れば、ベースの左側に突っ込むか、右側に突っ込むか、瞬時に判断できます。ただ馬鹿正直に突っ込んでいくのでは成功はおぼつかない。昔、西鉄の稲尾(和久投手)が言ってましたが、テークバックをしてトップになる寸前に打者がどこを狙っているかを判断して、その逆を突いたそうです。

本塁への猛烈なヘッドスライディング。得点王も4度



「そんなことができるのか?」と思われるかもしれませんが、超一流はそれぐらいのことはやれるのです。盗塁の技術だって、そこまで行かないと。いまのプロ野球の走者なら・・・

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