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昨季、高卒2年目で一軍デビューを果たした大型内野手は、安定した打撃が武器で、大きな期待を寄せられる。強肩、走力など、オールラウンドな能力も魅力だ。若返りが進むチームの中で、一軍に定着して内野手の一角を奪うため、日々“攻守走”を磨いている。
取材・構成=池田晋、松井進作 写真=長岡洋幸、BBM

打撃で数字を求める

──昨季、10月4日のソフトバンク戦(札幌ドーム)で一軍デビューを果たしました。

松本 すごく緊張しました。一軍でプレーするために何が足りないか、どうすればあの舞台でも自分の力を100%発揮できるのかという、課題が見えました。

──普段から意識が変わりましたか。

松本 はい。今年は昨年以上に一軍の舞台を意識して練習、試合に取り組んでいます。あの経験はすごくプラスになっています。

──今後一軍で生き残っていくために、打撃が大きな武器だと思います。

松本 守れるのは当たり前の世界なので、そこはまず一番に目指さなければなりません。その中でも打てる選手になるのが目標です。バッティングでは数字を求めています。

──現在二軍では、打率・283で本塁打1本(5月21日時点)。この数字はどうですか。

松本 ケガ(13年3月に自打球が足に当たり、長期離脱)から復帰して20試合前後ですかね。まだ自分の目指すところに届いてません。もっと高い数字を目指しています。

──まだコンディションは100%の状態に戻っていないのですか。

松本 でも、野球ができる状態まできているので、どんな状況でも結果を残さないといけないです。

──同期入団の上沢直之選手、近藤健介選手、石川慎吾選手が一軍で活躍する姿を見て、どう感じますか。

松本 もちろん、悔しい気持ちは人一倍持ってます。ただ、同級生があの舞台で活躍する姿を見ると、悔しさと同時にうれしさもあります。僕もあそこで活躍したいという気持ちが強くなりました。

──小谷野栄一選手がケガのため、本来は捕手の近藤選手が三塁を守っている状況は、どうですか。

松本 周りの方にもよく言われます。でもチームが近藤をサードで使うと決め、僕の力不足があるから、呼ばれないと思っています。そこに悔しさもありますが、自分自身の力が足りないなと真摯に受け止めています。

──今年、同じ内野手に渡邉諒選手が加入しました。

松本 僕はあまり他人に対してライバル心を持つ方ではないんです。それがいいのか、悪いのかは人それぞれだと思います。渡邉君が入ったからどうということはないです。他人を意識するより、自分の課題に取り組み、一軍でプレーするための力をつけることが大事だと思います。

──今年の新人には、帝京高で一緒にプレーした石川亮選手もいます。

松本 彼は試合に出ていましたが、1年生と3年生なのでそれほど接点はなかったです。入団が決まったとき、チームメートのみんなに、石川がどんな性格か聞かれたのですが、答えられなかったです。いいキャッチャーだなという印象しかありませんでした。逆に、彼は高校時代の僕をよく見ていたのか、僕のことをすごく分かっているかのように話すんですよ。「でも、そんなに俺と接してないだろう?」と言いたくなります(笑)。彼はキャッチャーで観察力が鋭いので、よく見ていたのかもしれません。昨年末に帝京高のOB総会で久しぶりに会うと、ガチガチになって、ものすごくかしこまって挨拶してきました。「これから一緒の寮に住むんだし、そんなに硬くならずに仲良くしようよ」と話したら、すぐに慣れて、部屋にもよく遊びに来るようになりました。面白い性格で、帝京っぽいですよ。

──杉谷拳士選手は?

松本 “ザ・帝京”という感じですよね(笑)。帝京はあのような性格の人が多いんです。拳士さんと石川はとにかくよくしゃべります。

三振だけはしたくない

──松本選手といえば、足も武器の一つですよね。

松本 足のケガが多いのでうまくいかず、もどかしい部分があります。でも、生き残るには走れないといけないなと思います。

──守備に関しては、2012年に二軍で失策33だったのが、昨年は7に減っています。

松本 打撃をアピールすることは自分にとって大切なことです。でも、守備面での課題があるので、そこに対して力を入れています。

──今季はショート、三塁、二塁を守ってますが、難しさはありますか。

松本 それぞれのポジションによって難しさはあります。一つにこだわらず、どこでも守れる方が出場機会も増えると思います。どれも中途半端にならないようにしています。

──守備で特に重点的に取り組んでいる点を具体的に教えてください。

松本 守備は課題ばかりですが、内野手としてリズムがすごく大事だと思います。どんな球を処理するときも一定のリズムでしっかりスローイングまでつなげる形を作るようにしています。

▲フィールディングを課題に挙げるが、肩の強さは大きな武器の一つだ



──打撃成績を見ると、三振が少なくて、四球が多いですが、意識していることはあるのですか。

松本 一、二番を打つことが多いので、簡単に凡退しては攻撃が機能しない。三振をしたくない気持ちはすごく強いです。

──そのために意識していることは?

松本 今年はより積極的に打ちに行く中で、自分の狙い球を一発でとらえることを課題にしています。もし、追い込まれたら、なんとか甘い球が来るまで粘ろうと思っています。

──5月20日の巨人戦(鎌ケ谷)の第3打席ではサードゴロでしたが、相手のエラーで一時は同点に持ち込みました。

松本 結果がたまたま良かっただけです。あれこそ、僕がいま取り組んでいる、狙っている球を打ち切れていない部分です。しっかり自分のスイングができていない。一軍に行けば、甘い球は1打席に1球あるかないかだと思うので、そこを常に意識しています。ファームでは1打席に自分が打ち返せる球が何度か来るので、そこをしっかりとらえたいです。

──打撃面での一番の課題は?

松本 精神面で調子の良し悪しが大きいことです。いいときはいいけど、ダメなときはダメになってしまう。前の打席で悪かったときに、切り替えができずに次の打席を迎えてしまうことがあります。それこそ上に行けば、少ない打席で結果を残さないといけないので、1打席、1打席しっかり気持ちを切り換えるように意識しています。技術的には、速い真っすぐに力負けしないようなスイングを身に着けることです。

──将来、自分がなりたいバッターのイメージはありますか。

松本 アベレージを求めつつ、出塁率を上げたいです。そこは自分にとって大事なので。特別パワーがあるわけでもなく、クリーンアップを打つタイプではないと思うので、打順はどこでも、とにかく塁に出ることを考えないといけません。

──一軍で勝負していくうえで、最もアピールする武器は?

松本 一番はバッティングです。守備、走塁はもちろん課題で、そこができれば選手としての幅が広がります。でも、バッティング面でアピールして、どんな形であれ、粘り強い打撃で、泥臭くでもいいのでとにかく出塁したい気持ちが強いです。

▲打率とともに出塁率にもこだわり、一軍昇格を目指す



──もう一度、一軍の舞台でやってみたい気持ちが強いですか。

松本 より強くなっていますね。3年目になって、よりやらなければいけないなと。一軍で早くプレーするために日々考えています。

──やはり3年目は、過去2年とは違いますか。

松本 オフから一軍を目指してきました。昨年、一昨年とは違う気持ちでシーズンに入れているので、一軍昇格を目指して頑張ります。


PROFILE
まつもと・ごう●1993年8月11日生まれ。埼玉県出身。181cm80kg。右投右打。帝京高で1年時から3年連続で甲子園に出場。3年時には主将を務めた。12年ドラフト2位で北海道日本ハム入団。昨年10月4日のソフトバンク戦(札幌ドーム)で一軍デビューを果たす。今季イースタン・リーグの成績は26試合出場、打率.283、1本塁打、5打点。(5月21日時点)
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各球団の将来を担う若手有望株へのインタビュー。現在の不安や将来への希望が語られます。

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