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高卒でプロ入りしてから4年目を迎えた。二軍では3年間2割台だった打率が、今季は3割台後半をマーク。ついに、自慢の打撃力が開花しようとしている。一軍でも持てる力を発揮できれば、定着する能力を秘めている。
取材・構成=池田晋、松井進作 写真=中島奈津子、小山真司、高原由佳、川口洋邦

課題はメンタル面

──今年のキャンプは一軍スタートでしたが、この1年はどのような目標を掲げて臨んでいるのですか。

谷口 去年のチームを見ると、1年を通して外野のレギュラーが1人決まらない状況でした。今年になってもまだ決まらず、中田(翔)さんが内野手に挑戦。大きなチャンスだと思いましたし、去年たくさん課題が見えたので、今年はそれを改善して最初から結果にこだわり、飛ばして行こうという気持ちでした。

──キャンプ中の紅白戦、オープン戦にかけて4本塁打と結果を残したように外からは見えましたが。

谷口 周りから見れば「いいんじゃないの」と思われるかもしれませんが、自分自身はあまり……。オープン戦の最初のころは若手が試合に出て、ベテランは後半に試合に出始めます。そこで、途端に試合に出られなくなる自分にすごく腹が立ちます。チャンスは徐々に少なくなっていく中で、もう一つ何か超えるものがないといけない。ベテランやほかの選手を使ってみたいと監督に思わせてしまったことが、すごく悔しかったです。

 キャンプの練習試合やオープン戦の序盤から調子が良かったのなら、そのままの調子でずっと打っていないと、継続して使ってもらえない。「ほかの外野手を試したいから」という理由で試合に出られなくなるようでは、ダメですね。

──新人の岡大海選手が開幕一軍、同期の西川遥輝選手が活躍する姿を、どのような思いで見ていましたか。

谷口 いろんな方に聞かれましたが、「うらやましい」より、当然悔しいです。でも、その人たちが上にいるから、自分もあきらめないで頑張れる。そう思える存在が近くにいることをプラスにとらえ、二軍で力を蓄えられているのだと思います。

──開幕は二軍で迎え、ファームではここまで打率.371(6月26日時点)の好成績を残しています。

谷口 二軍では自分のやりたいことができる。狙い球を絞ったり、いろいろ考えることができます。でも、一軍に行くと、ヒットを打たなければいけない、塁に出なければいけないと、追い込まれてしまう。二軍でプレーしているときと同じ状況が作れればやりやすいと思います。もっと客観的に自分を見つめながらプレーできたらいいですね。

──それは、今年4月に一度一軍に上がったときに出た反省点ですか。

谷口 あの時期は調子の良い状態が長く維持できたので、チャンスをもらえました。でも、実際に上がると常に出られる状況ではなかった。試合の途中から出ていく選手ならではの難しさを痛感しました。野球はやはり全員でするスポーツなんだなと思いました。練習中を含め、調子はすごく良かったんです。

 でも、それで結果が出ないと、自分は状態がいいのに、周りに「どうしたの?」と言われて、悪い方にばかり考えてしまって。もう一つ殻を破らなければいけないというところが、コーチの方たちと話し合った結果、出た答えでした。周りから何を言われても大丈夫だと思えるように、上(一軍)でもリラックスした状態でプレーすることができればと思います。次にチャンスがあれば、周りには「黙って見とれ!」というくらいの大きい心で行きたいですね。

技術の向上だけではなく、気持ちを強く持つことが大事と本人は語る



──今年一軍では23打数5安打で打率.217(6月26日時点)。途中出場などの起用も難しかった部分かと。

谷口 初めてスタメンで出た試合は、(陽)岱鋼さんのアクシデントからでした。気持ちの面できちんと準備ができていませんでした。ただ、その経験のおかげで、その後は吹っ切れました。最初からでも、途中から出ても、力が出せるように野球選手は準備を怠ってはならないんです。

6月25日に今季2度目の一軍昇格。26日のDeNA戦(横浜)では2打数2安打と結果を残した。

プロスペクトインタビュー

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各球団の将来を担う若手有望株へのインタビュー。現在の不安や将来への希望が語られます。

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