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今年度のドラフト1位、岩貞祐太には即戦力左腕として、2014年のペナントレースでの活躍が大いに期待された。しかし、自主トレで発熱し二軍キャンプスタート。キャンプ中に左ヒジ痛を発症。開幕一軍も夢に終わった。そこから、決死のリハビリを経て8月10日に一軍先発。度胸のある目いっぱい腕を振った投球が認められ8月以降は先発ローテーションに食い込んだ。だがやはり、ここにたどりつくまでにはさまざまな苦労があった。※成績は8月29日現在
取材・構成=椎屋博幸 写真=湯浅芳昭、BBM

投げられるのか……


──ファンも待ち望んでいた、ようやくの一軍デビューという感じです。

岩貞 はい。ようやく、ようやくという感じです。2月半ばにケガをしてしまいましたので。入団前にはケガをするなど思っていませんでした。調子を落として開幕二軍スタートであったとしても2カ月後には一軍に、またうまくいけば開幕一軍に入れるかな、という考えでした。でも、ケガしてからはもう一度投げられるための体にすることしか考えていませんでした。

──即戦力のドラフト1位投手ということで、ケガをしての焦りなどもあったのでしょうか。

岩貞 順位というのは僕の中では気になっていませんでした。ただ仕事として野球をするために入団したにもかかわらず、それができないという状況があって、将来的にやっていけなくなるのでは、という不安の方が大きかったです。「もしこのまま投げられなかったらどうしよう」というような。

──その不安が晴れてきたのはいつぐらいですか?

岩貞 「これは大丈夫だ」と思ったのは7月2日の二軍戦(中日戦=鳴尾浜)で、バッターに対して投げられた瞬間です。そこで「やれる」と思いました。前日までも、明日投げられるんだろうかと不安で、ブルペンで投げていても、打者がどういう反応するかも分からなかった部分がありましたから。

──「やれる」と感じたのは打者1人目を投げ終わった後でしょうか。

岩貞 実は初回は緊張して、舞い上がってしまったんです。その初回のマウンドを降りて、ベンチで味方の攻撃を見ている間に「ああ、この感じ懐かしいなあ」という思いがして、そこから緊張もほぐれて、残り2イニングはしっかり投げられました。それで登板後に「やっと自分の仕事、ピッチングができたなあ」と。リハビリなどをやってきた期間が長かったなあ、と思いました。

──そこから先、不安はよぎらなかったですか。

岩貞 はい、今のところまったくないです。ブルペンに入り出してからは、痛みへの不安などもなくなっていました。今も投げ終わってからも痛みはないので、大丈夫ですね。ここからやれるぞ、と思いました。

自分の体を知る


──その後、8月10日(広島戦=京セラドーム)に一軍先発デビューを飾ります。

岩貞 一軍のマウンドの方が、二軍とは比べ物にならないくらい緊張しました。大学までは緊張したことがなかったんですが、あのときは指先の感覚が分からなくなっていました(笑)。今思い返せば・・・

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