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記録の手帳 / 千葉功

先発投手たちの越えられない「5回の壁」考察論

 

投手陣に故障者続出の巨人は、盛んに若手投手を起用しているが、いずれも5回の壁を越えられないままで退いてしまう。先発投手は5回を投げ切らないことにはリードしていても勝利投手になれない。今号ではその実態を探ってみたい。

あと一歩のところで届かなかった勝利


3月30日のDeNA戦でプロ初先発した巨人のドライチルーキー桜井俊貴。待望の勝利まであと少しのところでマウンドを降りた


 開幕から4試合目の3月30日のDeNA戦で巨人はルーキーの桜井俊貴を先発させてきた。4回まで4安打しか許さず無失点。巨人は4回表に2点を先制し、5回にも1点を追加。3対0とリードしたので、あとは桜井が5回を無難に投げ切れば念願の勝利投手の権利が得られるところだった。

 ところが5回裏に一死から内野フライが野手の間に落ちた不運な安打などで5連打を浴びて1点差に。さらに満塁のピンチからロマックに同点の押し出し死球を与えたところで降板。さらに救援投手が桜井の責任となる1点を与えた。結局巨人は3対6で敗れたので、桜井は勝利投手どころか敗戦投手となった。

 巨人は4月3日の広島戦には今村を先発させた。5年目といいながら昨年まで16試合で3勝2敗。3勝のすべては先発で記録している。そんな今村はこの日のマウンドで勝利投手を意識したか、4回まで得点を許さなかったものの、5回二死から死球、四球の後、丸佳浩に三塁打を打たれて交代。残り1アウトで勝利投手の権利獲得となるのにマウンドを去った。

 今村は4月10日の中日戦でも0対1と1点リードされた5回に二死満塁のピンチを招いて交代させられた。勝利投手の寸前で権利を失うのは若手投手だけではない。

 阪神藤川球児は4月10日の広島戦で4回を終わって4対2のリード。5回を無難に投げれば甲子園での勝利が実現するところだったが、5回になると一番から5連続安打を浴びてKOされた。

 ロッテ二木康太は3年目の投手だが、一軍では昨年10月5日の日本ハム戦に1度投げただけ。3回から登板し1失点と好投していたが、1対1の同点で退いていたので勝敗には関係なかった。今年の3月30日の楽天戦で登板したときは4回まで1失点だったが、5回一死後から5打者に4安打されて退いた。4月5日のソフトバンク戦では3回まで無失点で来たが、4回になると5打者に3安打2四球でKOされたが、3度目の4月12日の楽天戦では8安打1四球を許したが最後までなんとか投げ切った。

 二木は7対0で迎えた9回裏には犠飛で1点を許したが、完投で3年目の初勝利。伊東勤監督は「1人で投げたところに価値がある。自信になるでしょう」と語っていた・・・

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