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2017甲子園リポート

自慢の快足で勝利に貢献。“有事”にも備える前橋育英の一番・丸山和郁

 

初回、三盗を決め、四番・飯島の適時打で先制のホームを踏んだ丸山


 2013年夏以来、2度目の全国制覇を目指す前橋育英(群馬)。8月8日、山梨学院(山梨)を12対5で下し、夏は4年ぶりの甲子園白星で、2回戦に進出した。

 チーム8盗塁とダイヤモンドをかき回した。中でも侍ジャパンU-18代表候補の一番・丸山和郁(3年)が4盗塁と50メートル5秒9の脚力を存分に発揮。1回、3回はともに一死二塁から三盗を決めた後、四番の主将・飯島大夢(3年)の適時打で本塁を踏むなど、リードオフマンが状況判断の良さで攻撃のリズムを作った。

 最近の群馬の勢力図は、前橋育英と健大高崎が「2強」を形成する。前橋育英は堅守、健大高崎は足を前面とした“機動破壊”が全国区となっているが、丸山は「健大くらいの走塁はしたい」と胸を張る。この日の前橋育英はチーム3本塁打とパワーでも山梨学院を圧倒し、攻守走の総合力の高さを印象づけた。

 丸山は1回に右手に死球を受け、患部はやや腫れていた。また、6月には右肩を脱臼し、県大会でもヘッドスライディングをした後のタッチ、そしてスイング時に2回、脱臼しており満身創痍の状態である。それでも「痛み? 自分が10なら飯島は100です。無理をしてほしくないですが……尊敬します」と、左手首を骨折しながらも強行出場するキャプテンを気遣っていた。

 丸山は投手も兼任し、左腕から最速144キロを計測する。この日は味方の大量リードもあって登板機会はなかったが、“有事”に備えて、センターでグルグル腕を回して準備していた。3番手の右腕・根岸崇裕(3年)が自己最速144キロを計時し「追いつかれてしまいました(苦笑)。投手は球速ではないですが、負けたくない」と投手としてのプライドもあり、ライバル心をむき出しにした。2回戦以降、丸山のリリーフがカギを握る展開は必ずあるはずだ。

「一番、特別な夏。最後に育英の名を刻みたい」

 来夏、第100回記念大会で深紅の大優勝旗が3代目に新調される。2代目ラストの王者に、前橋育英が堂々と名乗りを上げた。

文=岡本朋祐 写真=石井愛子
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