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2017甲子園リポート

満員の大会4日目。観衆は甲子園の醍醐味を堪能

 

3連休初日、甲子園は第1試合から4万7000人大観衆だった


 高校野球ファンにとって、これほど熱戦を堪能できる1日もない。

 大会第4日(8月11日)は登場8校でセンバツを含め甲子園優勝経験のある学校は広陵、中京大中京、横浜、興南、智弁和歌山、大阪桐蔭の6校。初日が雨天順延となったため、1日ずれて3連休初日(山の日)となったが、仮に平日の10日であっても大変な人出が予想されていた。

 阪神梅田駅。この日は5時54分発の甲子園行き臨時特急が増発された。6時発の直通特急は出発5分前には超満員。通常、出発すると、車掌は大会の案内をするが、この日はテンションが違う。外野席は6時15分、その他は6時30分に開門するとのアナウンスが流れた。

 6時12分に甲子園駅に到着すると、乗客は駅員による「走らないでください!」という注意をも振り切って、猛ダッシュでチケット売り場へと向かう。改札を出ると長蛇の列ができている。ある関係者によれば、初電より早く球場に到着するため、タクシーを利用する観衆も多く、甲子園のある西宮市内はまったくつかまらない状況だったという。

 改札を出ると長蛇の列ができている。チケットを購入できる保証はない。そこで、夏の選手権観戦に慣れているファンは、気持ちを切り替える。内野席はあきらめて、無料開放されている外野席へと向かうのだ。この段階で入場できる確率を考えれば、よっぽどそっちのほうが高いのである。内野席に並んだ挙句「売り切れました」のアナウンスと同時に、客足は一気に外野へ。それでは間に合わない。二の足を踏んでしまってはいけない。これが、甲子園観戦の鉄則だ。

 中央特別指定席は7時、一塁特別自由席は同35分、三塁特別自由席は同39分、一塁アルプスは同32分、三塁アルプスは同36分。つまり、8時開始の第1試合の約30分前には満員となった。

 第1試合に組まれた広陵と中京大中京の試合前ノックから大観衆は拍手。独特なムードに包まれた。横浜との第2試合を控えた秀岳館・鍛治舍巧監督に聞いた。かつては高校野球の解説者としてもお馴染みで、独自の視点に期待を込めたのだ。「8校中6校が優勝経験校ですが……」と質問すると、「選手は関係ないですよ。経験があるのは、今春のセンバツを制した大阪桐蔭だけです」と答えた。

 現場は意外にも冷静だったが、スタンドは第1試合から熱く燃えていた。一投一打、1プレーにどよめき。劣勢のチームにこそ、自然発生する手拍子。4万7000人の大観衆は、夏の甲子園の醍醐味を堪能していた。

文=岡本朋祐 写真=牛島寿人
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