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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画18】『特集パ・リーグ対セ・リーグ』【1958年8月13日号】

 

2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

『特別レポート プロ野球3つの危険信号』


表紙は国鉄・金田正一


 今回は『1958年8月13日号』。創刊第18号で定価30円。カラーページはない。

 表紙タイトルから巻頭グラビアは前号からの流れでオールスターと思いきや、7月19日、史上5人目の完全試合を達成した西鉄・西村貞朗を3ページ。続いて『長嶋俊足を生かす』(巨人長嶋茂雄)、『南海のヨギベラ』(南海・野村克也)とお馴染みの2人の写真がドンと続く。要は、まだ始まっていなかったのだ。勘違いでした……。

 本文巻頭特集がその『特集セ・リーグ対パ・リーグ〜野球商売うらおもて』。井上コミッショナーの「オールスター戦は、両リーグの人気をかけての勝負で、当事者にとってはそうそうお祭り的なものではない」とコメントがある。当時はセ、パ分立から9年目。球宴はまだまだ夢の舞台だった。以後、現代までの日本球界で、もっとも価値観が下がったのはオールスターかもしれない。

 記事中では両リーグの「選手の質」「観客動員」「ファンサービス」、さらにパの大川博総裁とセの鈴木龍二会長の比較まであった。なお、この企画内の囲み記事『私の意見』では、辛口で知られた作家・五味康祐が「ジャイアンツは天下をとれない」と題し寄稿。リーグ優勝は巨人と思っているようだが(大独走だった)、このままでは西鉄に及ばぬという内容だ(パは南海が大独走だからチームの質的なもので)。後半では「水原(巨人監督)は本年巨人を去るかどうかは知らない。水原も大監督といわれる男なら、たった一人でいい。おれは本当に水原が育てた大選手だと、球界に噂されるような、そんな選手を育てて去ってほしいと思う」と、この人らしい言葉がある。

 見出しでひかれたのは、『特別レポート プロ野球3つの危険信号』。1つめは故障に苦しみ、不振が続く西鉄・大下弘と球団の確執。2つめは5位東映に18.5ゲーム差の最下位にいた近鉄。3つめは不振にあえぐ阪神大崎三男の話。大崎は56年25勝、58年20勝を挙げていた男だ。なお大下の記事中、球団関係者の陰口として大下は「近鉄の四番でちょうどいい」というものがあった。当時の近鉄が置かれた位置がうかがえる。

 恒例の座談会は『スラッガー参上』と題し、パを代表する強打者、西鉄・中西太、大毎・山内和弘、南海・野村克也が登場。関西弁、博多弁(中西は香川、山内は愛知だが)が入り混じっての楽しい座談会だった。
『選手の秘密』では大洋の強打者で、天秤棒打法で知られた新人・近藤和彦が登場。それによると、彼の猛打のジンクスは万年床にあった。それがある日、布団をあげ、さらに部屋の掃除をしていると、合宿中が大騒ぎになったことがある。先輩は「どうした? 今日は巨人戦があるぞ」と叫ぶと、近藤は頭をかき、「いけねえ、うっかりやっちまった」。すぐさまお茶目な1人が「今日は雨だぞ」と言ったら、本当に雨が降ってきたという笑い話だった(試合開始前に止んだようだ)。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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