2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 巻頭グラビアは連載『プロ野球現代の顏20』
今回は『1958年8月27日号』。創刊第20号で定価30円。ふたたびセンターにカラー見開きが復活。平和台球場での球宴開会式だ。外野スタンド向こうの木々の陰影を見ると、おそらく着色ではあるまい。いや、それともそうなのか……。
巻頭グラビアは連載『プロ野球現代の顏20』で「タイガースの速球王」と8月5日時点で17勝を挙げている阪神・
小山正明が登場。その後も阪神─巨人3連戦が続く。8月2日からの試合だが、阪神が3連勝。5日の大洋戦を合わせ、10連勝で首位・巨人を猛追していた。
本文巻頭特集も『巨人よろめく〜タイガース優勝の噂』。以前も書いた三島由紀夫著『美徳のよろめき』からのタイトルだった。恒例の座談会も『巨人か阪神か』と題し、巨人・広岡達朗、
藤田元司、阪神・
田宮謙次郎、小山正明が出席。シーズン中にこんな豪華座談会をやってしまうフットワークの軽さが素晴らしく、できてしまう時代がうらやましい。
連載『私の意見』では、詩人サトウハチローが『一リーグ制反対』と題し、寄稿していた。これは当時パ・リーグの人気低迷もあって根強くささやかれていたものだが、サトウハチローは、強く反対し、自分と大井廣介(辛口の野球評論家)をパ・リーグ幹部に迎えてくれたら全力で頑張ると書いている。
センターグラビアは『パ・リーグの天王山〜西鉄・南海の激闘』『大洋大暴れ』。後ろグラビアは『優勝のカギを握る右腕〜巨人藤田と南海杉浦』『南海・大毎に連敗』『11連勝と満塁ホーマー〜秋本、中田の大殊勲』(阪急特集)などバリエーション豊か。当時の新聞などを見ると、関東はほぼ巨人、関西はほぼ阪神ネタだったから、これだけ幅広い情報を網羅していたのは、おそらく『週べ』だけだろう。
今回は広告も紹介してみる。表2(表紙の裏)が昭和石油の『ゴールデンパロットエンジンオイル』とヒメ椿の『男性用ヘヤークリーム』(完全乳化らしい)、さらに表4(裏表紙)が『富士銀行』と株式会社サクライのゼネラル印の野球道具(長嶋の写真入り)、表3(裏表紙の裏)が
大和電器株式会社の『ダイワの電気ポット』、松竹セントラル劇場で8月14日からロードショウの『初恋』(ナタリー・ウッド主演)の宣伝。時代を感じさせて面白いので、これからも時々、紹介していきたい。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM