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【週ベ60周年記念企画24】『特集 眠られぬ監督たち』【1958年9月24日号】

 

2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

王貞治、巨人入団の内幕記事も


表紙は左が巨人藤尾茂、右が同じく巨人の藤田元司投手


 今回は『1958年9月24日号』。創刊第24号で定価30円。中カラー見開きは『球豪』と題し、西鉄の若きエース・稲尾和久、主砲・中西太の迫力たっぷりの2ショットだ。

 巻頭グラビアはセの首位・巨人の対国鉄2連戦が軸。このシーズン、巨人は国鉄を苦手にし、このときも1勝1敗、対戦成績では11勝11敗と五分のままだ。ただし2位・阪神には5.5ゲーム差とし、優勝は確実に近付いていた。

 本文巻頭は『特集 眠られぬ監督たち〜ペナント獲得まであと三十日』(やはり「ら抜き」ではない)。V争い佳境の南海・山本(鶴岡)一人監督、巨人・水原円裕監督、西鉄・三原脩監督、阪神・田中義雄監督、阪急・藤本定義監督の人物モノだ。山本監督は当時、文子夫人を亡くし、一男二女との生活。親分と呼ばれた豪快な監督の家庭人としての姿に迫っている。

『近鉄をいかに強化するか?〜パ・リーグオーナー会議のメモから』という記事もあった。低迷が続き、リーグのお荷物となりつつあった近鉄をいかに強化するかをリーグをあげて話し合ったという記事だった。当時、親会社の近鉄が球団経営から手を引くという話が、かなりリアルにウワサされていたようだ。佐伯オーナーは「乗りかかってた船だから……」と継続を強調していた。

 ついに早実・王貞治の巨人入りも決まった。『演じられた巨人の逆転劇〜王投手をめぐるスカウト合戦の内幕』では、九分九厘阪神入りと言われていた王を巨人はいかにして翻意させ、契約にこぎつけたかを日付、時間を明示しつつ、詳細に追っている。最後に王のショートインタビューも掲載されていたので、一部紹介しよう。

──巨人を選んだ理由は。

 小さいときから巨人ファンでもあり、特に川上(哲治)さんにあこがれていました。小さいときの気持ちって根強いものですね。どうせやるなら川上さんと一緒と思い、両親が年を取っていますから在京球団ということを考えました。

──プロ野球人として投手をしたいか打者としてやりたいか。

 自分としてはピッチャーに自信がないんです。昨年の調子を思い出すと未練も残りますが……。来年にならないと分かりませんが、ピッチャーで全力を尽くそうと思っています。

 どのタイミングで「野手転向」を決めたのか、今後の号もチェックしていきたい(万一見落としたら失礼)。

 恒例の対談は、どのタイミングでやったのか分からないが、『日本一の対決〜プロ野球現代の焦点に立つ両雄』として巨人・長嶋茂雄、西鉄・稲尾和久が登場と豪華版。稲尾は変化球はスライダー、シュートを武器とし、ほとんどカーブを投げなかったが、それについて書かれた個所もある。

「高校のときからカーブというの全然投げなかったんです。だから、いまでもドロップ投げたら山なりのふわっとしたのだけだ。どうしてだめなのか分からないんだ。一生懸命練習するんだけど、どうもねえ。切るタイミングが悪いんだな」

 対してオールスターで対戦がある長嶋は「やっぱりスピードがあれでしょう。大きいあれじゃなく、短いので、きゅっとこうくる」と独特の表現でスライダーについて触れている。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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