2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 対談『グラウンドに砕けろ!〜巨人・阪神二人のタフガイ』
今回は『1959年8月26日号』。定価は30円だ。センターグラビアでは『不敵なる新人・張本』のタイトルで東映の
張本勲が登場。ユニフォームの胸のボタンが外れたまま(外したまま?)のプレー写真は確かにふてぶてしい。『快調!ベーブ・野村』というページもあった。南海・
野村克也には「ムース」に加え、和製ベーブ・ルースの意で「ベーブ」の愛称もあった。
今回の注目は本文巻頭『特集
巨人の混乱狙う大毎のゲリラ戦法』だろう。ペナントレースもまだ半ば、パの大毎がなぜセの巨人の混乱を狙うのか。
読んでいくと、現在パで南海と優勝争いをしている大毎がチームの大改造を企てているという話だ。具体的には主砲の
山内和弘を放出し、
阪神の
小山正明か
金田正一を獲得するというプランだ。のちの『世紀の大トレード』の芽がすでに生まれていたということだ。ほかにも大型補強を企てていたようだが、その資金確保がすごい。要は二軍をなくしてしまおうという話だった。最初はノンプロに5000万円で売るという動きもあったという。
「巨人を狙う」というのは、大型補強でチームを強化し、球界の盟主の座を巨人から奪い取ろうという意だった。さすがラッパ・永田雅一オーナーである。
対談は『グラウンドに砕けろ!〜巨人・阪神二人のタフガイ』で、巨人の四番にも座った
坂崎一彦、阪神の新人右腕・
村山実が出席。
打倒巨人に燃える村山の思いが伝わる個所を抜粋しよう。
村山 ほんと、しんどいわ。だけど、ぼくはジャイアンツとやるときが一番楽しいな。勝っても負けても、ほんとにそうや。そりゃ負けたら口惜しいけど、とにかく、マウンドに立ってね、長嶋さんとか坂崎さんとかをじっと見下ろす気持ち……。
坂崎 それで“よーし、なでぎりにしてくれる”っていうんだから、こっちはたまらん(笑)。村山さんが出てくると、ぼくなんかもう歯も立たんわ。あの沈むボール、どうしても打てないんですよ。バットに当たるほうが少ないんだから、三振ばかり多くて。
村山 ジャイアンツには、あの球しかないんです。それと、まっすぐね。この2つしかない。中途半端な球を投げたらガーンといかれちゃうでしょ。ぼく、よく言われるんですよ。自分のペースを覚えろって、だけど、最初から全力投球でぶつかっていくというのが、ほんとうのぼくのペースだと思うんです。こう、変に逃げるピッチングをするよりは。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM