週刊ベースボールONLINE

週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画72】『特集 巨人の混乱狙う大毎のゲリラ戦法』【1959年8月26日号】

 

2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

対談『グラウンドに砕けろ!〜巨人・阪神二人のタフガイ』


表紙は南海・杉浦忠


 今回は『1959年8月26日号』。定価は30円だ。センターグラビアでは『不敵なる新人・張本』のタイトルで東映の張本勲が登場。ユニフォームの胸のボタンが外れたまま(外したまま?)のプレー写真は確かにふてぶてしい。『快調!ベーブ・野村』というページもあった。南海・野村克也には「ムース」に加え、和製ベーブ・ルースの意で「ベーブ」の愛称もあった。

 今回の注目は本文巻頭『特集 巨人の混乱狙う大毎のゲリラ戦法』だろう。ペナントレースもまだ半ば、パの大毎がなぜセの巨人の混乱を狙うのか。

 読んでいくと、現在パで南海と優勝争いをしている大毎がチームの大改造を企てているという話だ。具体的には主砲の山内和弘を放出し、阪神小山正明金田正一を獲得するというプランだ。のちの『世紀の大トレード』の芽がすでに生まれていたということだ。ほかにも大型補強を企てていたようだが、その資金確保がすごい。要は二軍をなくしてしまおうという話だった。最初はノンプロに5000万円で売るという動きもあったという。

「巨人を狙う」というのは、大型補強でチームを強化し、球界の盟主の座を巨人から奪い取ろうという意だった。さすがラッパ・永田雅一オーナーである。

 対談は『グラウンドに砕けろ!〜巨人・阪神二人のタフガイ』で、巨人の四番にも座った坂崎一彦、阪神の新人右腕・村山実が出席。

 打倒巨人に燃える村山の思いが伝わる個所を抜粋しよう。

村山 ほんと、しんどいわ。だけど、ぼくはジャイアンツとやるときが一番楽しいな。勝っても負けても、ほんとにそうや。そりゃ負けたら口惜しいけど、とにかく、マウンドに立ってね、長嶋さんとか坂崎さんとかをじっと見下ろす気持ち……。

坂崎 それで“よーし、なでぎりにしてくれる”っていうんだから、こっちはたまらん(笑)。村山さんが出てくると、ぼくなんかもう歯も立たんわ。あの沈むボール、どうしても打てないんですよ。バットに当たるほうが少ないんだから、三振ばかり多くて。

村山 ジャイアンツには、あの球しかないんです。それと、まっすぐね。この2つしかない。中途半端な球を投げたらガーンといかれちゃうでしょ。ぼく、よく言われるんですよ。自分のペースを覚えろって、だけど、最初から全力投球でぶつかっていくというのが、ほんとうのぼくのペースだと思うんです。こう、変に逃げるピッチングをするよりは。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング