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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画106】『特集 巨人は強いのか弱いのか』【1960年4月20日号】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

巻頭グラビアは『ダイナミック長嶋』


表紙は国鉄・金田正一


 今回は『1960年4月20日号』。定価は30円だ。巻頭グラビアは『ダイナミック長嶋』。開幕目前の号だが、この年も球界の主役は、巨人長嶋茂雄のようである。

 ただ、チーム自体はターニングポイントにあった。巻頭特集は『巨人は強いのか弱いのか』。「人気と実力のアンバランスから来た迷い」とサブタイトルがつき、オープン戦大不振の巨人に対し、「投、打ともにドン底」と書かれている。長嶋は「オープン戦のやり過ぎが原因で、疲れがたまっているだけ。本番を見てくれと言いたいね」と意気軒高だが、藤田元司堀内庄が故障で苦しむ投手陣は深刻。水原茂監督も報道陣に「どうして負けるかって? 根性がないからだよ。選手の性根がなっとらんのだ」と、しばしばイライラを爆発させていた。時代は違うが、チームの不振を指揮官が選手のせいとなじるのはいただけない。周囲が川上哲治を次期監督とみなしていることへのいら立ちもあったのかもしれないが。

 座談会は『さあ、ペナント・レースだ!』。出席者は巨人・藤尾茂、大洋・秋山登、南海・穴吹義雄、東映・毒島章一。大洋のエース・秋山は三原脩新監督について聞かれ、「とにかく細かいわ。いま5回なら、もう9回の計算してるもの」と答えていた。

 ちなみにオープン戦で無類の強さを発揮したのが、この年、ハワイ遠征を行った東映だ。『東映快調の秘密』という記事では、岩本義行監督が「選手がいまの自信と自覚そのままにペナント・レースに持ち続けてさえくれたら優勝もあながち夢ではない」とやや遠慮がちに語っていたが、大川博オーナーは「もし東映が優勝したら、アメリカに行かせるつもりだ。そしてアメリカへいってヤンキースと戦ってこいと言ってある」と上機嫌だった。

 またオープン戦好調だったバッターは、大毎・榎本喜八。打率は4割台半ば。相手投手が「榎本には投げる球がない」と嘆くほどだった。入団1年目55年の新人王も以後はなかなか打率3割に届かなかったが、早実の先輩・荒川博の指導もあって、ついに希代の天才打者に開花のときがやってきた。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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