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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画115】『川上コーチと巨人の若手打者』【1960年6月22日号】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

巻頭グラビアは『三年目の長嶋茂雄』


表紙は巨人堀本律雄


 今回は『1960年6月22日号』。定価は30円だ。表紙は巨人の新人・堀本律雄だが、後ろの緑系の縦オビがかなりすごい。なぜこの写真を選んだかを含め、史上に残る変わり種表紙の1つと言っていいかもしれない。

 巻頭グラビアは『三年目の長嶋茂雄』。この時点で打率はセ・リーグ2位の.338ながらホームランが自身では物足りないらしい(44試合で4本)。なお、1位は国鉄の飯田徳治。35歳のベテランが頑張っている。

 本文巻頭『おれの好きなようにさせてくれ!』にも長嶋は登場。投手の徹底した外角攻めに遭い、思うように引っ張りの打球が増えてこないようだ。「なんといっても、インコースをカーンと打ちたいですね。やはりレフトに打てない右打者なんて寂しいものですよ」と、元気印の男が珍しく、しみじみ語った。

 首位を陥落した大毎の西本幸雄監督も登場。評論家・苅田久徳の「ただ球場に来て、ヒットを打つ、そして帰る。こうした個人主義がいかん」と個性派がそろう打者陣への批判があったことについて「球場に来てヒットを打つ、そして帰る、それがなぜいけないんです。夜遅くまで酒を飲んで遊び歩くのがチームプレーなんですか」と反論している。実は、この時期、週べではないが、ほかの週刊誌では、巨人・水原茂監督が来季から大毎監督になるという記事も出ていたらしい。評論家・大井廣介はコラム『プロ野球時評』で、これらの記事を無責任であり、義憤を禁じ得ないと書いている。

 表紙タイトルになった『川上コーチと巨人の若手打者』は、川上哲治コーチの下で成長を見せる王貞治らについてだった。川上は「王も今年は2年目だ。自分でも、今年こそやらねばいかんと奮起したのだろう。とにかく練習はよくやった。結局、王の意欲が生んだ快打、と言えるのではないか。王は、どちらかと言えば天才型だ」と語っている。

『12球団週間報告』では南海に面白い記事があった。「鶯嬢と労働基準法」というものだ。

 場内アナウンサー、いわゆるウグイス嬢の話だ。勤務時間が3時から10時までの7時間なので、試合が10時を過ぎた途端、野太い男の声に変わったらしい。12球団で南海だけだった。

 なお、以下は宣伝です。しばらく、まったく同じ文を掲載します。

 現在、週刊ベース60周年企画として「週べでつづる12球団史」を制作中。第1弾は3月14日発売予定の巨人編です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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