今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 『多摩川べりにZ旗あがる』
今回は『1961年2月15日増大号』。定価は10円アップし40円だ。グラビアでは自主トレや先頭を切って始まった巨人のユニフォームでの総合練習などが掲載され、連載『誌上野球教室』では長嶋茂雄の三塁守備が登場。ゴムマリのように弾む守備だ。
本文巻頭は『多摩川にZ旗あがる』。Z旗は、日本海軍で勝利を祈願する旗の意があった。多摩川の両岸で
三原脩監督の大洋、
川上哲治新監督の巨人がにらみ合うように練習しているという話だ。
巨人の練習では、川上監督は、ほぼ黙って見守り、逆にコーチとなった
別所毅彦が大声。ファンからは「まるで別所が監督みたいだな」の声もあった。練習の後、合気道の達人やウェートリフティングの権威を招いての講習会をしていたらしい。
『なぜはやる帯刀治療所』では、当時肩を痛めた選手がよく通っていた別府の帯刀電気治療所の記事が載っている。帯刀姉妹が父・久松さんから受け継ぐ秘伝の電気治療が有名だった。訪れた選手のサイン帖が10冊もあったというのだからすごい。
『セ・パ人気獲得法の内幕』では、かねてから進んでいた近鉄の
中日球場での公式戦が正式決定。いわばセの陣地にパが乗り込むことになる。
これもオフ恒例だが『スター選手のサイド・ビジネス繁昌記』では、今回も大毎・
山内和弘が「大実業家並みのスゴ腕」として真っ先に紹介されている。郷里の名古屋市で織物会社を設立し、「ホームランシャツ」などを製作していた。山内は言う。
「ぼくには大学卒のレッテルもなければ財産もなかった。野球という職業がなかったら、いまごろはどこかの工場で職工でもしているのがせいぜいだろう。そう思うと限りなく野球への感謝がわき、同時にこの商売で稼げるだけは稼ぎたいと考える。短い選手生活を考えたら、遊んだり無駄な消費をしたりする暇はないはずだ」
以下、宣伝。
週べ60年記念シリーズ『巨人編』が好調発売中。次回、
日本ハム編も佳境です。今回は巨人編に比べ、ややくだけた企画もあります。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM