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高校野球リポート

今夏の甲子園、福岡の代表が2校に。南、北県大会をマネジメントする凄腕のリーダー

 

高校野球をこよなく愛して


福岡県高野連・野口敦弘理事長は今夏の第100大会で初めて開催される「南福岡大会」「北福岡大会」の準備に追われている


 第100回全国高校野球選手権記念大会(8月5日から17日間、準々決勝翌日の休養日を含む、阪神甲子園球場)は史上最多56校が出場する。

 第80、90回記念大会は例年代表が2校となっていた東京、北海道に加え、埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪、兵庫が2代表だった。ここに、100回大会では福岡も初めて2代表の増枠。準々決勝を前に5回戦を行っている地区で複数校が出場できなかったのは福岡だけで、待ちに待った“悲願”となったのである。

 昨年4月、日本高野連の全国高校野球選手権大会運営委員会で決まり、同理事会で承認された。福岡県高野連・野口敦弘理事長は「ようやくです!!」と安堵の表情を見せながらも「福岡は初めてですが、違和感なく、スムーズな大会運営ができると思います」と語った。

 かねてから福岡は南・北で大会を開催し、春と秋は各4強(計8校、準々決勝から)、夏は各8強(計16校、5回戦から)が県大会へ進出するシステムとなっている。分割開催する意図は、福岡は加盟校が広範囲に分布しており、野口理事長は「例えば門司(北部)の学校が大牟田(南部)で試合を行うのは、ものすごい負担。高校野球ファンも、遠方まで観戦へ行くことは難しい」と、現状を説明する。

 とはいえ、加盟校からは「一律で開催してほしい」という要望が多く、連盟内では慎重に検討を重ねてきた時期もある。一度は100回大会(南・北大会が決定する前)をメドに実現への動きとなったが「管理職(校長、学校経営者)にアンケートを取ったところ、経費面で7割の加盟校から反対が出た」(野口理事長)。有識者5人で構成する評議委員会の意見も集約した上で、昨年の段階で「現時点では難しい」(野口理事長)という結論となった。

 福岡県高野連の事務所は八幡工高(北部)に設置されており、野口理事長は国語科教諭としての校務と並行して、連盟業務に当たっている。なお、別途、小郡高(南部)には南部支局があり、常任理事が常駐。南部大会は同連盟副理事長、北部大会も、もう一人の副理事長が取りまとめてきた。両大会の「統括責任者」が野口理事長という立ち位置である。

「1人の理事長が2つの大会を取り仕切るわけですが、福岡の場合は例年と変わらないです。昨年までは南・北分かれて開催して、5回戦から結集するのが、今夏は交わらないだけ。開会式は100回大会に参加したという、記憶に残る式次第を考案中ですが、基本的な大会運営自体はほぼ一緒です」(野口理事長)

 そう熱く語る野口理事長は、元高校球児だ。東筑高OBで、2年夏(1978年)の甲子園に控え投手(背番号13)として出場した。2年秋からはサブマリンエースとして、公立進学校をけん引した。長崎大卒業後に福岡県の教諭となり、若松高の監督を経て、東筑高では部長(責任教師)として2度の甲子園出場。八幡高(部長)の2年目に福岡県高野連の常任理事となり、06年に八幡工高へ異動。副理事長4年を歴任し、10年から現職である。

 16、17年には侍ジャパンU-18代表の総務として、高校日本代表チームをマネジメント。生徒の気持ちに寄り添った熱血指導で、小枝守監督ら首脳陣からも全幅の信頼を受けていた。高校野球をこよなく愛し、円滑な大会運営を具現化していく凄腕のリーダーである。

 南・北福岡大会は7月7日、ヤフオクドームで開幕し、順調に日程が消化すれば、同24日に南福岡大会決勝、同25日に北福岡大会決勝が、ともに北九州市民球場で行われる。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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