今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 「哲によく練習しとけと言ってくださいな」
今回は『1962年2月26日号』。定価は40円だ。
学校の試験でチームを離れていた
巨人の新人・
柴田勲が2月9日の夜、ようやく宮崎のキャンプに合流。このとき早くも日活の女優との関係を週刊誌に書かれていた。その記事がウソかホントかは知らないが、のち『銀座の盗塁王』と言われたモテモテ男らしい話だ。
高校時代同様、投手か、あるいは野手転向かも騒がれていたが、本人は「それはピッチャーですよ。だってピッチャーとして採用されたのでしょう。バッターになっても出場する幕がありませんよ」と語っている。巨人の新人では日本ビールから入った
城之内邦雄の評価が高い。
別所毅彦コーチも「変則モーションなどで打者はタイミングが取りにくい。もう一つは
シュートが素晴らしい」と称賛していた。
この巨人の対抗馬として注目されているのが、巨人OBの藤本定義監督、
青田昇コーチがいる
阪神だ。投打とも大型補強でチーム力が上がり、優勝に本気になっている。
2月11日には鈴木龍二セ・リーグ会長が、甲子園のキャンプを視察。この後、巨人のキャンプに行くと聞くと、まず藤本監督が「哲によく練習しとけと言ってくださいな」、青田コーチは「哲ちゃんにもだが、ベーやん(別所コーチ。青田の滝川中の先輩でもある)に今年はうちが胸を貸してやるから、どんとこいと伝えてください」。この2人、シーズンに入っても打倒巨人を掲げ、
川上哲治監督、別所コーチを“いじり”続けた。阪神にあった巨人コンプレックスを払しょくするためとも言われるが、2人の性格も当然あるだろう。
『12球団週間報告』で南海キャンプが「かなり騒がしい」という記事があった。
鶴岡一人監督が指示をグラウンドの隅々まで届かせるためマイクを導入したらしいが、それまでのクセが抜けず、マイクに向かっていつも怒鳴ってしまい、なんだか言葉が聞き取れぬ、わめき声になっていたらしい。加えて、練習中にBGMを流すことにしたのだが、だれが選曲したのか、景気のいい行進曲のようなものばかりで、口が悪い記者に「小学校の運動会みたいだ」と言われていた。
『バファローズの新しい息吹』では、近鉄の
別当薫新監督が、取材に来た記者たちに背番号51の選手を紹介し、「きっと四番を打たせてみせます。宣伝してやってください」と言っている。
18歳の
土井正博である。
以下、宣伝。
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では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM