今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 「威力を発揮するか川本メモ」
今回は『1962年3月26日号』。定価は40円だ。グラビアは、巻頭が大洋・
三原脩監督、西鉄・
中西太兼任監督の親子対決(三原監督の娘さんと中西が結婚)、センターが巨人・
長嶋茂雄、南海・
杉浦忠の立大対決も実現した、同じくオープン戦の模様だ。前年の日本シリーズと同じ巨人−南海戦は、「春の日本シリーズ」と呼ばれている。
連載『レーダー』には「威力を発揮するか川本メモ」と題し、
広島の
川本徳三スコアラーの話がある。南海から広まり、主にパで充実するスコアラー制度だが、広島の場合、メーンスポンサーの東洋工業(現マツダ)のコンピュータを使っての解析と、アマチュアの8ミリ同好会「エイト倶楽部」に協力してもらっての映像の利用に特徴があったらしい。
そして、この記事の対向ページから、のち川本スコアラーの名を高めることになる「王シフト」の対象者、巨人・
王貞治が
佐々木信也の連載対談で登場している。一本足打法は、まだ採用していない時期だが、なんとなく予感させる個所もあった。
佐々木 キャンプ中にいろいろフォームを変えて打っていたとか。
王 バックスイングのときに、別当さん(薫。毎日ほか)、大下さん(弘。西鉄ほか)のやっていたように足を大きくあげていってみたり、ノーステップで打ってみたり、バットの構えるところを高くしたり、低くしたり。
去年バットが出なくて寝かしたのですが、そうするとヒジが空いちゃうんですよ。だからインコースが打てない。自分ではタイミングがいいと思っても遠回りするので、詰まるんですね。それで脇をしめるようにしたらと思って、キャンプのときから立てっぱなしでやっているんです。
当時、足を上げる選手自体、多くなかった。
球場では「東京スタジアム」の建設と、「神宮球場」の改装が八分どおり出来上がったという記事もある。神宮はこの改装でナイター設備をつける。改装は64年東京オリンピックの公開競技として行われる野球の舞台になることが決まってのことだったらしく、ナイターはいよいよプロへの貸し出しを本格的に進めるためでもあった。いまだ神宮を長く専用してきた学生野球側の反対はあるが、オリンピックのために駒沢球場の借地権を返還した東映の試合が多数行われる予定。なお、この工事で女性専用のトイレができた、とあるが、初めてできたのか、増えたのか。
工事開始から8カ月が経った東京球場は8割の完成。開場が待たれる。
以下宣伝。
週べ60年記念シリーズ『巨人編』『
日本ハム編』『
阪神編』が好評発売中、『
ロッテ編』は28日発売予定です。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM