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週刊ベースボール60周年記念企画

ブームを呼ぶ一本足打法/週べ1962年8月27日号【230】

 

 今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

退団した巨人・別所毅彦コーチ


表紙は巨人王貞治


 今回は『1962年8月27日号』。定価は40円だ。表紙から巨人の王貞治が飾っているが、なかにも特集がある。たぶん締切が違うからだと思うが、当時、表紙と内容がリンクしている号は多くない。

 王の「一本足打法」でのホームラン量産が止まらないようだ。この号ではセンターグラビアで「ブームを呼ぶ“一本足”打法」の記事があり、連続写真も載っている。残念ながらフィルムは現存していないが、これはかなり貴重だ(あるいは倉庫に山積みのダンボール箱のどこかに……)。

 ファンだけでなく、他チームに真似する打者が出たり、相手投手が変則フォームで崩そうとしたりと、いまや球界の話題の中心となっているという。

 ただ、正直、巨人はそれどころではない。
 優勝が遠ざかっただけではなく、投手コーチ、別所毅彦の退団騒動で荒れに荒れていた。
 
 発端は7月10日夜の消灯後、禁止されていたビールを飲んでいた中村稔らを見つけた別所コーチが、報告と謝罪をさせるため、選手たちを川上哲治監督の監督に連れていった際、中村を殴ったというのだ(中村によれば、実際には「早く入れ」と強く押された程度だったらしい)。

 このときはそれで終わったのが、しばらくして週刊誌に顛末が書かれたことで、8月11日になって球団から別所に謹慎処分が出され、その後、謹慎があけた別所が辞表を提出し、退団となったのだ。

 会見をした別所は理由として川上との確執を挙げた。
「川上さんには多摩川(二軍)に行けと。まだ反省が足りないから二軍から一軍にいつ戻すかは考えていない。お前がいないほうが勝てる、と言われました」
 鬼軍曹とは言われたが、球団への忠誠心、川上への忠誠心は人一倍だった別所。信頼していたからこそ、冷たい言葉が大きな衝撃になったのだろう。

 これについて記者から質問を受けた川上は、
「どうも僕の言ったことが全部悪いほう悪いほうに取られているようです。あとのことは心配しないで静養せよと言ったのです」
 と答えた。

 巨人の低迷をよそに首位を走る阪神。投手の小山正明村山実の二本柱ばかり注目されるが、渡辺省三が8月6日現在で7連勝といい仕事をしている。
 渡辺の武器は、針の穴を通すとも言われた小山正明も一目置く制球力だ。「ボール半個分、ストライクゾーンに出したり入れたり」ができたという。ボール半分と針の穴はどちらが……という無粋な突っ込みはやめておこう。

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 週べ60年記念シリーズ『巨人編』『日本ハム編』『阪神編』『ロッテ編』が発売中。現在、『広島編』を鋭意制作中です。

 では、またあした。

<次回に続く>

週刊ベースボール編集部

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