今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 長嶋茂雄は「フォームなんて二の次
今回は『1962年9月24日号』。定価は40円だ。
9月9日、巨人・王貞治は首位を走る
阪神相手に3打席連続弾を放った(後楽園)。これでシーズン33号になる。これまでの最多が17本であることを思えば、すさまじき急成長だ。
王が興味深い話をしている個所があった。
「(テッド)ウィリアムス(レッドソックスの伝説的打者。現在も最後の4割打者で、王はあこがれていた)の打撃で最大の魅力はいかなるときでも思い切って右翼に引っ張る力強さです。
彼の強打を警戒して、インディアンスのブードロー監督がブードローシフトをしいて対抗したときも動ぜず、恐れず、かえって彼らの守備陣を撃破する強打で打ちまくった。
あの姿こそ僕の理想形です」
ブードローシフトは守備陣が極端にライト側によるもので、1964年、王のホームラン対策で
広島が考案した王シフトの基になったとも言われる。
王は、自分のために広島の野手が右に寄った際、何を思ったのだろうか。おそらく身震いするほど感動したのではないか。
長嶋に王の一本足打法について感想を求めた個所もあった。
「実に大したものです。立派だと思いますよ。ただ、要は打つことです。僕だって片足だけじゃなく、両足ではねていって当たるのであれば、そういう方法をすぐ採用しますよ。打てればフォームは二の次です」
笑いながらだったようだが、打ちまくる後輩に、少し嫉妬心があったのかもしれない。
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では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM