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週刊ベースボール60周年記念企画

川上哲治と別所毅彦の冷戦/週べ1963年2月25日号【257】

 

 今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

村山実の右腕にどんな仕掛けが?


表紙は左から巨人王貞治、南海・野村克也



 今回は『1963年2月25日号』。定価は40円だ。

 阪神小山正明は2月7日、10回目の交渉でついに契約更改した。金銭には納得できなかったようだが、フロリダ・キャンプの出発直前。どうしても参加したかったのかもしれない。

 共同会見では「ほんま迷惑かけました」と頭を下げた小山だったが、その後、「どやワシの逃げっぷりは見事なもんやったろう。月光仮面みたいなもんや」と笑顔を見せた。日夜、小山の動向を追った担当記者を何度もまいていたらしい。

 阪神は9日(日本時間10日)には、デトロイト・タイガースがキャンプを行っているフロリダのタイガー・タウンに到着。まずはぐっすり寝て、翌日から練習を開始した。

 人気は村山実。デトロイト・タイガースは、このオフの来日時、村山に完封されていただけに、フェフィング監督も「村山の速球は最高の魅力があるボールだった」と称賛し、「完封されたときは、腕にさわりたかった。いったいどんな仕掛けがしてあるのかって」と笑った。

 前年、巨人のコーチを退任した別所毅彦が評論家となって、宮崎のキャンプを訪れた。退任時の川上哲治監督へのすさまじい恨み節は、以前の回で書いたとおりだ。

 キャンプでは並んで座り、ひとまず弾まないながら普通の会話をかわしたが、チームに状態についての質問には、
「ベーやん(別所)は、何もかも知っているから練習を見たら分かるだろう。何も言う必要はないよ」
 とだけ言って、川上は別所のヒザをたたき、席を立った。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM

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