今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 中日の仰天補強!
今回は『1963年3月18日号』。定価は40円だ。
「あっはは」
直後は、2人とも大笑いしたという。
記者が「
巨人6位説もあるが」と尋ねた際の反応だ。
長嶋茂雄は、その後、「いろいろと不思議な説が出てきますな」と言いながら、少しカッとしたのか声がだんだん大きくなってきたようだ。
王貞治もまた、「大体そんなことが常識であるのか、非常識というのは、きのうきょうの試合を見ていれば分かるでしょう」と笑顔は消えないながら、こちらもムカッと来たらしい。
オープン戦はすでに始まっていた。この「きのう、きょうの試合」は西鉄戦だったが、長嶋の大当たりで快勝していた。
対戦した稲尾和久の長嶋評だ。
「体の動きが少なくなった。去年のオールスターのときは振りが大きくて上体が揺れているみたい。だから外角のスライダーにみんな泳いでいた。ところが今年はボールを呼び込んで打っている。フォームがスムーズになったし手強いよ」
解説者の
大下弘も絶賛だ。
「長嶋君がよくなったですね。今年の長嶋君には4割打者の可能性があるかもしれません」
前年は打率3割に届かず、王の成長の陰になってしまった長嶋。もちろん、このままで終わるつもりはない。
セでは、
中日が独自の補強を続けている。
前年、
ニューク、ドビーと、セミリタイアながらメジャーの超大物選手を獲得し、話題となったが、この年はマーシャル、ニーマンと、前年までメジャーで働いていた現役バリバリのメジャー・リーガーが入った。かなり補強資金に余裕があったのだろう。
さらに以前の回でも書いたが、その時点ではまだ中学3年生の
松本忍を獲得。夜間高校に通いながらになるらしいが、その後も松本同様、長崎県出身の中学3年生・
杉斎英、三重県出身の中学3年生・森田通泰の入団を次々発表した。
小社の資料では松本、森田は63年の登録メンバーにあるが、杉は66年、名古屋中央高になっている。
さらに、飯塚商高から上崎克公、上崎泰一を獲得。これは双子バッテリーだ。引退し、2年間二軍のマネジャーをしていた
坂口俊一を現役復帰させるなど、オフの話題独占していた。
あしたは日曜。社内の働き方改革もあり、今後、毎日曜は休載とさせていただきます。また月曜に。
<次回に続く>
写真=BBM