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夏の高校野球100回大会。歴史のあるギアに相応しい最高のフィナーレ

 

1998年8月22日、横浜高が京都成章高を下し、春夏連覇を達成


 第100回全国高等学校野球選手権記念大会の開幕が8月5日に迫っている。7月25日時点で、すでに32の代表校が甲子園に名乗りを上げ、このまま順調に日程を消化すれば、7月29日(東東京、北神奈川、北大阪、岡山で決勝)には全56校が出そろう予定だ。

 記念大会を前に、過去の甲子園に関連する取材が増えた。先日は長く高校野球の審判員を務め、現在は兵庫県高野連の審判部長として後進の育成に力を注ぐ岡本良一さんにお話を聞いた。

 岡本さんは岡山の倉敷工高出身で、ご自身も2年春、夏(50回の記念大会)の甲子園に出場し(どちらも8強)、明大、川崎重工(77年社会人ベストナイン、三塁手)と、プレーヤーとしてもアマチュア界のトップを張った方。30歳で引退後に高校野球審判員の道に進むわけだが、例えば98年の80回記念大会では松坂大輔(現中日)擁する横浜高とPL学園高との準々決勝(つまり延長17回)、その横浜高が京都成章高と戦った決勝でも球審を務めるなど、幾多の名場面に立ち会っている。

 写真はその98年の決勝で横浜高が優勝を決めた直後のワンシーン。この試合を最後に高校野球の舞台から姿を消した“あるもの”が映っているのだが、お分かりになるだろうか。

 正解は、写真右奥で帽子に手をかける岡本球審が、左肩に担ぎ、背中側に回して持つアウトサイドプロテクター。ファウルチップが体に直撃することを防ぐ球審用の防具だが、甲子園閉幕直後、松坂らが選出された高校日本代表が参加した第3回AAAアジア野球選手権大会(9月4日〜13日)が日本で開催された際には、現在主流のインサイドプロテクターに全面的に切り替わったのだという。

「80年の歴史のあるアウトサイドプロテクターの最後が自分で良かったのか、今でも考えることがあります」と話す岡本さんだが、この試合は松坂がノーヒットノーランで締めくくっているのだから、歴史のあるギアに相応しい最高のフィナーレだったのではないか。

文=坂本 匠 写真=BBM
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