今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 走りまくれ柴田
今回は『1963年6月17日号』。定価は40円だ。
巻頭は『走りまくれ! 柴田』。
巨人・
柴田勲の足が猛威をふるっている。
プロ2年目、甲子園の優勝投手から野手にコンバートした柴田は、
佐々木信也との対談企画にも登場。
完全なレギュラーではないが、慣れないスイッチで打率.308をマーク。16安打でリーグトップの16盗塁だから代走もまだ多かったようだ。
国鉄では
浜崎真二監督と
金田正一がやり合った、という記事があったが、実際にはそこまで深刻ではない。
29歳で300勝投手となった金田は(さらっと書いたがすごい話だ)、次なる目標400勝に向け、
「ワシは体を大切にせないかん」と、浜崎監督に3日に1回の登板にしてほしい、と頼んでいた。
6月1日の大洋戦(東京)だった。国鉄は6回まで2対0で勝っていたが、追いつかれ、延長戦へ。ここで浜崎監督は金田へ登板を頼んだが、29日に投げていた金田は「きょうはあかん」と断った。
試合は敗れ、浜崎は「チームのためを思ったら、あそこでカネにやってもらわないかんぜ」とぼやいた。
金田は翌2日に登板し、完封勝利。金田は言う。
「プロの選手なんてものはな、結局は自分にしか頼れないものなんや。ワシが勝利投手になって帰ってくると、みんな握手してくれるが、本当は形だけ。自分一人で右手と左手で握手してるのと同じようなものなんだよ」
渋い言葉だ。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM