今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 山崎裕之は長嶋以上?
今回は『1963年8月19日増大号』。定価は10円上がって50円だ
表紙は斬新。ぜひ拡大して見ていただきたいが、背景に読者のイラストが入っている。
巨人・
長嶋茂雄が三冠王に向け、加速している。
8月4日現在、打率.361(2位王貞治.331)、本塁打25本(1位王26本)、打点83(2位王67)。王に本塁打で1本、届かぬだけだ。
巻頭はONに牽引され、首位を独走する巨人から長嶋、森昌彦、
柴田勲ら6選手が参加する座談会。長嶋は、その中で三冠王について聞かれ、
「チャンスだから是非と思うけど、こればかりはやってみないとね。一番問題なのは本塁打ですよ。いままで40本打った実績があるならともかく、30本そこそこですからね」
一方のパは南海の独走から西鉄の逆襲で、東映を加えた三つ巴の混戦模様になりつつある。
西鉄の軸となっているのは、ロイ、バーマ、ウイルソンの三人男。スタメンに外国人3人は、ほか大洋がアグリー、マック、クレス、
中日がマーシャル、ニーマン、クラウスとなっている。
追い上げられた南海の秘密兵器は研修制度のため一軍昇格はかなわぬが、ファームで結果を出している新人の
村上雅則と
林俊宏の両左腕。あと10試合程度で上がれるようだが、
鶴岡一人監督の中では、2人はペナントでは隠し、日本シリーズの秘密兵器にしたいと思っていたようだ。
スカウト合戦も熱気を帯びてきた。渦中は広陵高の山本英規、上尾高の
山崎裕之、北海高の
吉沢勝だ。大型内野手山崎は「長嶋2世」とも言われたが、地元の人たちは、
「2世ではない。山崎は長嶋以上だ」と鼻息が荒い。
ドラフト前の話。契約金も3000万だ4000万だと景気がいい。
またあした。
<次回に続く>
写真=BBM